「亭主元気で留守が良い」とはよ…
50代からが断然面白い!人生100歳時代と聞くと、正直気が重くなる人への処方箋【Vol.11】自宅はオフィスではありません
人生100歳時代と聞いて、心躍る人はなかなかに少ないのではないでしょうか。
ここはそんなあなたのために、現在進行形のシニアライフから見えてきた、あんなことこんなことのご紹介。今回の話題は「自宅はオフィスではありません」についてです。
新型コロナウィルスによって、これまでの当たり前が、どんどん変化しています。仕事のコミュニケーションの標準がオンラインになったり、ソーシャルディスタンスがエチケットの基本になったり…。勿論、もっと深刻な変化は沢山あるのでしょうが、これまで馴染んだ生活のリズムを少し変えられるだけで、ストレスをかなり感じたりするものです。
Stay Home! ということで、家の中で過ごす時間が圧倒的に増えました。人と直接会って話をする事が、これほど貴重な時間になるとは思いもしませんでした。人恋しくなって、ついついオンライン飲み会に顔を出しちゃう…なんて、私のようなプレシニア、シニア世代の方も多いことでしょう。
ところがです。人恋しいと思う一方で、「家族と四六時中いるのがかなり苦痛!」とおっしゃる方も相当数いらっしゃるのも事実のようです。「一人にさせて!」と、平日の昼間から在宅している家族に悶々としている姿が、容易に想像がつきます。
実は、こんな場面はこれまでもあるタイミングで、散々見受けられてきました。そうですね。定年を迎えて家に「戻った」旦那さんとその奥様という構図です。(ちょっと古いステレオタイプかもしれませんが…)
私が自宅を「本社」として働き始めた頃、家の中には明らかに不穏な空気が流れていました。勿論、今振り返れば分かるのですが、その元凶は私の言動にありました。
例えば、自分としては意気揚々(?)と仕事に集中していると、ドアホンが鳴り腰を折られるわけです。やれ宅急便やら、やれ生協やら、やれ町内会やら、…こんなに来訪ってあるのかと呆れるくらい。そのたびに、私はちょっとイラッとして「俺、仕事中だから出てくれないかなぁ」などと連れ合いに言うわけです。あるいは、一区切りついて昼時になったことに気づくと、「そろそろランチの時間だけどどうする?」なんて回りくどく催促しちゃうわけです。
「え? これの何がいけないの?」
という方が万が一にもいらしたら、今から心しておきましょう。
「自宅はあなたのオフィスではありません!」
これまで家に居る時間が短かった(≒関心の薄かった)人ほど要注意です。
単身の方であれば、自宅兼オフィスというのは、ネットミーティングの際に上半身だけでも身ぎれいにしておくとか、あらかじめスケジュールを決めて仕事時間を一日の中で確保しておくとか、そんな節制ができるようなら問題ありません。ところが、家族と同居しているとなると、自分一人のことではすみません。自宅は生活する「協働の場」なのですから、快適な生活空間の維持には同居人すべてが等しく気を配る義務があるわけです。
これまでなかった「仕事」を持ち込んで場を乱している側が、より積極的に気を配った行動をしなければ、たちまち“荒れて”しまうわけですね。まぁ、在宅時間が短いからと言って、義務は平等なはずなので、これまでもし問題にならなかったとしたら、「あんまり邪魔になってないからよしとするか」といった程度で相手側にお目こぼしをしてもらっていたということなのでしょう。「俺は仕事しているから…」的な言動は、「生活空間の維持には一切かかわらないのでよろしく!」と、相手の頑張りで快適に暮らしておきながら、のうのうと相手に言い放っているということになります。とんでもないストレスを相手に与えるわけですね。いや、ストレスだけならまだ良い方で…。
では、家族と同居していると自宅をオフィスとして使ってはいけないのかと言えば、「オフィスとして“も”使っている」と、とても良いことが(たまに)あることも事実です。例えば、思わぬサポートが得られること。「コーヒー入れたけど、飲む?」とリラックスタイムを設けてくれたり、企画でうんうんと唸っている時に、「今日、面白い話があってさ」などとヒントになるようトピックスをひょいとくれたりとか…。「それって、当たり前のシーンじゃないの?」ってことかもしれませんが、仕事を外でしている時って、なかなかこういう場面には出会わない昨今だったよなぁと。ひょっとすると、仕事と生活が極端に分断していた今までがおかしくて、「One Team」として同時に営まれるのが、心地よい本来のスタイルなのかもしれません。
この時期、多くのビジネスパーソンが、「巣ごもり生活」を余儀なくされているわけですから、人生100歳時代の超素敵な新しいライフスタイルが、これからぞくぞくと生まれてくるのではとワクワクしています。下を向くのも仕方ない状況ですが、たまには気楽に心躍る将来の場面を妄想する時間も良いものですよね。え? 快適な生活空間を維持する時間をもっと増やせと……確かに(汗)
臼井 清
合同会社志事創業社(しごとそうぎょうしゃ)代表
1984年より情報機器メーカーで、マーケティングを中心に国内外で経験を積む。2014年、ビジネス創出やキャリア開発に向けた“学び”をプロデュースする「志事創業社」を設立。「幾つになっても進行形!」(Age100.ing)をキーワードに、様々な「チャレンジ」を応援中。最近では“アートシンキング”のプログラム開発等、活躍の巾を広げている。