2021
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50代女性「時給1,070円パートvs月給22万円正社員」どちらを選ぶ? 収入と働きやすさを比較


VS 対決

パート・アルバイトのまま働き続けるか、それとも正社員を目指して就活を始めるか。どちらの雇用形態で働くべきか、迷っている50代女性もいるのではないでしょうか。

前提としてパート・アルバイトと正社員では、何がどのように異なるのか分からないという方もいるかもしれません。そこで本記事では「パートvs正社員」と題して、収入の安定性と働きやすさを徹底比較していきます。

そもそもいくら稼げる?パートvs正社員の月収・年収

それぞれの比較に入る前に、そもそもパート・アルバイトと正社員ではどのくらい収入面が異なるのかを見ていきます。

パート・アルバイト主婦向け求人の平均時給は「1,070円」

まずパート・アルバイトの給与について、主婦向けの求人サイトを運営する「しゅふJOB」によると2021年8月度の平均時給は「1,070円でした。地域別に見ると、首都圏は1,152円、関西は1,048円、東海は1,020円とややばらつきがあります。なお、主婦向けと限定しなかった場合の三大都市圏の平均時給は1,099円という調査結果もありました(株式会社リクルートの調査研究機関「ジョブリサーチセンター」調べ」)。

この1,070円という時給をもとに、1日8時間勤務を1ヵ月あたり20日すると月収は「約17万円」。年収にすると「約204万円」となりますが、実際は扶養控除を考慮すると“必ずしもこの金額を稼げるわけではない”ことを後ほど解説します。

50代・正社員女性の月収は「約300万円」

一方、正社員女性の場合はいくら稼げるのか見ていきましょう。パート・アルバイトと違い正社員は年齢による収入差が大きいため、こちらでは50代女性に限定します。

まず厚生労働省の2021年5月時点の調査によると、50~54歳・正社員女性の年収は約302.6万円で、55~59歳の場合は303.6万円という結果でした。ただし、この金額は全国平均のため、都市部はさらに高くなることが予想されます。

この年収約300万円から所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれることを考えると手取りは「240万円」程度。手取りの月収にすると、「約22万円」です。

パートと正社員どっちが“お得”? メリット・デメリット

職種や会社にもよるため一概には言えませんが、パート・アルバイトと正社員では月収にして約5万円変わることが分かりました。この5万円という金額を、大きいと捉えるか小さいと捉えるかは人それぞれ。ですが、収入の多さだけでなく、パート・アルバイトと正社員では収入の安定性や働きやすさが異なります。

【パートvs正社員】収入の安定性はどちらが上?

賞与・退職金

パートやアルバイトへ賞与(ボーナス)や退職金を支給する企業も稀にありますが、基本的にこれらの制度は正社員に対するものです。会社にもよりますが、賞与は夏と冬の2回に分けて支給され、一般的には「基本給の◯ヵ月分」といった基準で金額が決まります。また退職金は、勤続年数に応じて金額が決まることがほとんどです。

これら賞与と退職金を考慮すれば、たとえパート・アルバイトと正社員の月収が約5万円しか変わらなかったとしても、年収は正社員のほうが圧倒的に高いと言えるでしょう。

福利厚生

パート・アルバイトと正社員では、福利厚生の充実度も異なります。例えば正社員の場合は社会保険へ加入できますが、パート・アルバイトの場合は一定の条件を満たさなければ加入できません。そのほか、家賃や住宅ローン、資格を取得するための手当などを正社員へ提供している会社もあります。

扶養内「年収103万円・130万円」の制限

パート・アルバイトの年収が103万円を超えると、所得税が発生します。さらに年収130万円を超えると、扶養から外れ社会保険へ加入することになります。厚生年金へ加入できるため将来の年金は増えますが、保険料を納める必要性が生まれたり、扶養手当から外れたりなどデメリットも少なくありません。「パート・アルバイトでも正社員と同じくらい稼げる」と思っても、給与を扶養内に抑えるメリットのほうが大きく、実際は収入を抑えている方が多いのが現状です。

【パートvs正社員】働きやすさはどちらが上?

勤務時間の長さ

パート・アルバイトは自分で勤務時間を調整でき、一方で正社員は会社側から勤務時間を指定されているのが特徴です。正社員の場合は基本的に1日8時間の勤務を週5日続けることになるため、私生活を優先しにくいというデメリットがあります。パート・アルバイトであれば働きたい日数や曜日の希望を出せるので、親の介護がある方などでも介護と仕事を両立しやすいです。

休暇の取りやすさ

休暇に関しても、正社員よりパート・アルバイトのほうが取得しやすいです。業務や責任の範囲が限定的なパート・アルバイトに対して、責任ある立場にいる正社員は自分の好きなタイミングで休みを取るのはなかなか難しいもの。また、スタッフの入れ替わりが激しい職場や常に忙しい職場などでは、正社員が人員の補充として急にかり出されることもあり、私生活との両立が難しいケースも珍しくありません。

責任の重さ

勤務時間を調整しやすく、休暇が取りやすいパート・アルバイトは責任の重さという点では正社員より軽いと言えます。従事できる業務内容が限られるためスキルアップは難しいですが、プレッシャーを感じずマイペースに働くことが可能です。一方、正社員はパート・アルバイトを管理する立場にあることも多く、高度な仕事を任せられる傾向にあります。多様な業務に関われるためやりがいも大きく、スキルアップのチャンスも豊富にありますが業務の責任は重いと言えるでしょう。

パート・アルバイトまたは正社員、自分にはどちらが向いている?

ここまでパート・アルバイトと正社員の違いを紹介してきましたが、「それぞれの違いは分かったけど、どちらが自分に合っているのか分からない」という方もいるかもしれません。

まずパート・アルバイトに向いている50代女性のタイプは、現段階では収入に困っておらず、社会参加を目的として働きたいと考えている方です。休みを取りやすいため私生活と両立しやすく、収入を扶養内に抑えれば保険料を支払う必要もありません。

一方、正社員に向いている50代女性のタイプは、たくさん稼いでスキルアップしたい方です。将来を不安に感じている方なども、正社員にしぼって就活するのが良いでしょう。解雇や失業の不安が少なく、雇用の安定が確保されます。

50代女性の働き方選びは“将来を見据えること”が大切

どのような雇用形態で働くべきかは、それぞれの置かれた状況によります。直近で収入面に不安がないのであれば、急いで正社員の職を探す必要はないと感じるかもしれません。

ただ、年齢を重ねるごとに就職のハードルが上がることを考えると、少しでも正社員として働く意欲があるのであれば挑戦してみるのもおすすめ。老後にどのくらいの資金が必要なのか、セカンドライフではどのようなことをしたいのかなど、将来を見据えて働き方を選びましょう。


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