2019
06/19

【欧米の副業事情】ドイツの労働環境や制度(ドイツ後編)


欧米の副業事情についてシリーズでご紹介しています。ドイツの前編では、副業事情に大きく関わる「ミニジョブ」制度についてご紹介し、副業人口について見てきました。

【欧米の副業事情】ドイツのミニジョブ制度(ドイツ前編)

後編では、法令・制度、労働時間・健康管理、社会保険について見ていきます。

 

法令・制度

ドイツでは、副業に関し雇用契約等で「制限」は可能であっても、理由を問わず一律に全面禁止することは認められていません。雇用側は「正当な利益」に影響を及ぼさ無い限り、従業員の副業に「同意する義務」があります。

正当な利益に影響を及ぼすケースとしては、競合他社での副業、類似事業を起業し現雇用主の競争相手となる、副業により主業におけるパフォーマンスが低下する、などが含まれます。また、ドイツの労働法において、従業員が副業する・しないで有給休暇や病気期間中の賃金継続支払い等に対する請求権に対し、違いが生ずることはありません。

 

労働時間と健康問題

労働時間は、主業と副業の労働時間が合算されます。健康上の配慮から上限が決められており、原則1日8時間を超えてはいけません。だたし、6か月以内の平均で1日8時間を超えない限り、1日10時間まで延長が可能です。

雇用主には全ての労働者の労働時間を記録する義務がありますが、労働者の副業先との間にお互いに労働時間を通知する義務はないため、労働時間法の上限を超えて労働させてしまうリスクがあります。これを回避するため雇用者側には労働者に対し、雇用契約の中で副業先における労働時間等の申告を求める権利があります。

労働保護法で規定されているように、原則として雇用側に従業員の健康管理をする義務があります。複数就業者の場合、複数の雇用主間で協力することについて一般的には認められています。しかし、雇用主同士が協力する義務については成立しないとの判例もあり、基本、雇用主の労働者に対する健康配慮義務は、自分たちの職場に限定されているという見方が有力です。

社会保険

前編でご紹介しましたドイツのミニジョブ制度。この制度は社会保険に深く関わっています。月収が450ユーロ以下のミニジョブで働く場合、労働者は所得税と社会保険の労働者負担分は免除されますが、雇用者は免除されません。

また、ミニジョブ制度では雇用主のみが保険料を負担する労災保険は適用されますが、医療、介護、失業保険は適用外となります。ミニジョブ制度による税や社会保険料の免除については、低所得者の副業を加速させる公平性を欠いた制度であるとの批判も出ています。


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