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日本もこうなる!?「欧米の副業事情」【イギリス・前編】
日本では「副業・複業」が新しい働き方の一つとして受け入れられつつありますが、海外ではどのようになっているのでしょうか?
厚生労働省の要請に基づき、労働政策研究・研修機構が「諸外国における副業・兼業の実態調査」として、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの4か国の副業の現状について調査を実施しました。調査によると、副業に関する制度的な障壁がそれほど高くないとみられていた欧米諸国でも、実際に副業を行っている層は限定的、という面白い結果が出ています。
さらに、制度についても欧州各国とアメリカでは違いがあることが分かりました。調査の対象となった4か国について、副業人口、就業形態、職種、制度・法令、社会保険等をご紹介します。
副業人口
2016年時点において、イギリスの副業人口が労働人口全体に占める割合は、前述の4か国の中で最も低い3.9%(112万人)で、このうち女性が57%を占めています。副業人口は1990年代にピークを迎えた後、徐々に減少し、現在は110~120万人の間で推移しています。
この一連の副業人口の推移の理由については不明としながらも、失業率の増減と副業就業者比率の増減がほぼ対応していると一部のシンクタンクは指摘しており、経済と雇用状況の影響である可能性が示唆されています。
就業形態
主・副業共に雇用されている人の割合が一番高く全体の49%、この後に続くのが主業は雇用、副業は自営業という人で約33%となっています。1999年以降に見られる傾向としては、副業が自営業という人が少しずつ増加し、2016年時点で主業か副業のどちらかが自営業という人の比率が50%を上回っています。男女別に見てみると、主・副業とも雇用されている女性の割合は54.8%で男性の41.7%を上回っています。
副業する人の職種
次に、職種別に副業している人について見ていきます。国によって多少差はあるものの、相対的に女性、または低賃金・低技能の仕事についている人が副業することが多いと言われています。
そんな中、イギリスでは専門職層が28.7%と高い比率を占めているのが特徴です。管理職・専門職で副業している人は、男性では半数近くを占めるのに対し、女性はほぼ3分の1。一方、サービス・販売職や事務補助職の女性が副業している割合は、男性に比べて高くなっています。
イギリスの副業事情のうち、副業人口、就業形態、職種について見てきました。後編では、法令・制度、労働時間・健康管理の考え方、そして社会保険についてご紹介します。