2022
03/16

【50代の転職 賢人インタビュー】ヘッドハンターが語る③ ヘッドハンターに声をかけられたときのベストな対処法とは


ヘッドハンターの本音 第3段

突然、ヘッドハンターから連絡が来たら、あなたはどうしますか?

どうやって自分のことを調べたのか、信用できるのか、会っておいた方がいいのか……わからないことだらけで、狼狽えてしまうかもしれません。

ヘッドハンター月井絵美さんへのインタビュー企画として、第1弾では基礎知識第2弾ではヘッドハンターが狙う人材について紹介しました。第3弾となる今回は、ヘッドハンターに声をかけられたときの対処法についてお聞きします。

 

<プロフィール>

ヘッドハンター月井様

月井絵美(つきいえみ)さん

株式会社プロフェッショナルバンク コンサルティングサーチ2部部長/ヘッドハンター

大学卒後、大手総合人材サービス会社に就職。その後も人材ビジネスを軸に活動域を広げ、キャリアコンサルタントや企業の採用代行、人材教育などを手掛ける。2005年に渡米。カリフォルニアで人材ビジネスに携わり、多数の実績を残す。4年後に帰国、ヘッドハンティング会社の「株式会社プロフェッショナルバンク」に転職。化粧品・医薬品・食品のメーカー、商社、建築設備業、各種エンジニアリング業界を中心に、数多くの案件を手がける。

 

調査から採用決定まで平均6カ月間。じっくり丁寧に進めるのが日本流

―ヘッドハンティングの流れについて教えてください

ヘッドハンターから連絡があり、もう少し詳しい話を聞きたいと思ったら、一般的な流れは以下のようになります。

1.連絡してきたヘッドハンターにコンタクトをとり、直接会う日程を調整

2.ヘッドハンターと面談

3.クライアント(企業)との面談(必要に応じ複数回実施)

4.条件提示を受けて、ご自身の意思で現職に残るか、移籍するかを決断

5.現職への退職申し入れ

6.移籍先企業へ入社するまでヘッドハンターがフォロー

ヘッドハンターから声がかかってから移籍するまでにかかる期間の目安は4~6カ月、長ければ1年かかることもあります。

―ファーストコンタクトは電話で? それともメールで?

外資系に所属する外国人ハンターなどは、いきなり会社に電話して、ターゲットの方に断られたら「じゃあ、あなたの同僚を紹介して」と強引なやり方をするケースもあるとよく聞きます。本場アメリカでは、ヘッドハンティングはそのくらい日常ですからね。

しかし当社では日本の職場環境を鑑み、ターゲットの方にご迷惑をおかけするので最初に電話でコンタクトを取ることは滅多にありません。会社への電話は、どうしてもコンタクトを取りたいときの最終手段です。

基本的には、メールでファーストコンタクトをさせていただきますが、その際は、一度お会いしたい旨、誠意を持ってお伝えするように心がけています。

信用できるかどうかは、会社のHPをチェックしたり面談時の相手の態度で判断を

―ヘッドハンターから連絡がたら、どのように対応するのがベスト?

ファーストコンタクトの時点では、当社はクライアント(企業)と機密保持契約を締結している関係でクライアント(企業)名を出すことができないケースが多いので、信用できる話なのか警戒心を持たれることが多々あります。

なかには「うちの会社に頼まれて、私のリストラですか?」とか「壺でも売られるんじゃないか」とか、過剰に警戒される方もいらっしゃいます。

まずは、連絡してきたヘッドハンターが所属するヘッドハンティング会社のHPをチェックしてみることをおすすめします。大手であれば、これまでの実績や在籍するヘッドハンターの顔写真付きプロフィールなどを紹介しています。また、HP内に「ヘッドハンティングのご連絡を差し上げた方へ」といったページを設け、今後の流れや費用はかかるのかなどの疑問に対して説明がされていることも多いので、ぜひ、参考にしてみてください。

会社に所属しないフリーランスのヘッドハンターもいますが、その場合はフルネームを聞き、SNSをしていないか探してみましょう。本物のヘッドハンターならば、人脈作りや情報発信の場としてSNSを利用していることが多いからです。

もし声をかけてきたヘッドハンターがフルネームや所属先の会社名を名乗らなかった場合は、誘いにのらない方が賢明です。

HPやSNSをチェックして本物のヘッドハンターであるとわかり、少しでも興味を持たれたならば、転職のご意向が高くない状態でも構いませんので、ヘッドハンターにご連絡されてみてはいかがでしょうか。

―面談はどのような形で行われ、何をお話されるのでしょうか

ターゲットの方の都合の良い日時をご指定いただき、ご希望の場所にこちらから出向いて面談のお時間をいただいております。場所は通常、ホテルのラウンジや喫茶店などになります。最近では、コロナ禍ということもあってリモート面談をご希望される方も多く、Zoomなどで行うこともあります。

最初の面談は情報交換の場として捉えていただければと思います。このタイミングではどのクライアント(企業)からのオファーかはお伝えすることはできませんが、業界や規模、ハンティング手法によって外部から人材を求めている理由、ターゲットの方のどこを見込んでお声がけしたかなど、話せる範囲でご質問にお答えします。

当社では、私たちヘッドハンターとお会いいただけたことで、ターゲットの方にとっても今後のキャリアを考える良い機会になればと思っており、年齢に応じた今後の仕事のステージや、市況感についても可能な限りお答えさせていただくよう心がけています。

―面談時、今回の案件が具体的なものなのか、ヘッドハンターが信頼できるかを見極めるポイントはありますか?

 具体的な案件かどうかは、企業名は出せなくても、クライアント(企業)が求めている職種や業務ミッションについて、また、どうしてそのような人材を探しているのかなどには答えられると思いますので、質問してみてください。真摯に向き合い答えてくれるかが、ヘッドハンターの信頼度を見極めるポイントのひとつであると思います。

ヘッドハンティング会社によっては、具体的な案件があって声がけしているわけでなく、人材データベースを作成するために面談し、聞き取り調査を行うところもあります。ホテルのロビーラウンジでよく見かけるのですが、対象者と面と向かいながら、その方をほとんど見ることなく、ただ聞いたことをひたすらパソコンを打ち込んでいる……。これをやられた方は、いい気分はしませんよね。

また、当社のヘッドハンターは、面談の際は、第一印象で信頼していただけるよう、身だしなみや立ち居振る舞い、言葉遣いなどすべてに細心の注意を払って臨んでいます。そういった部分にも注目してみてください。

決断するポイントは最終的に転職先の仕事にやりがいを見出せるか否か

 ―転職の意向がない人を、どう口説いていくのですか?

アメリカ人の場合は、最初からポジション、待遇、収入などの条件ありきで交渉していくのが一般的です。日本人は、条件よりも、今の会社に恩がある、部下や上司を裏切ることはできない、新しい職場環境・人間関係に馴染めるか不安、家族の同意が得られないなど、解決しなければならない課題が山積みです。

2~3年ごと転職するアメリカ人と異なり、日本人の場合、転職はその後の人生を左右する一大事と捉える人もまだまだ多いのです。ですから、ターゲットの方が抱えるひとつひとつの課題について真摯に向き合い、課題があれば一緒に解決していく姿勢で対応します。

また、移籍(転職)先の企業での業務ミッション、やりがい、ポジションなどを現職と比較検討する際は、クライアント(企業)を交えて、ヘッドハンター同席のもと、十分に話し合います。

業務ミッションに関して、エンジニアや研究員など専門職の場合は、ヘッドハンターもある程度知識がないと深い話ができないため、担当するハンティング案件の業界については、常に知見を広げる努力をして臨んでいます。

 ―何回か面談した後で、最終的に断られることもありますか?

もちろんあります。無理やり引き抜くわけではないですから、十分に検討を重ねた結果、やはり今回は……とご辞退される方もいます。

 ―ヘッドハンティングを受けて移籍(転職)することにしたら、その後はどうなりますか?

 オファーを受け入れて移籍(転職)を決断したら現職への退職の申し入れに進みますが、上司から強い引き止めにあう方もいらっしゃいます。その場合、ヘッドハンターが相談にのり、スムーズに退職ができるようアドバイスもさせていただいておりますのでご安心ください。

―なんだか専属マネージャーのようで、転職する方も安心ですね

そういえば、家探しのお手伝いをしたこともありました。東京から大阪の会社へ転職が決まった方で、一家での転居が必要になり、土地勘がないためクライアント(企業)にもサポートしていただき、一緒に家探しをしました。

あと、一度断られた方と数年後に再びご縁があったことも。その方に断られてから数年後、たまたま似た案件があってふとその方のことを思い出しました。そこで連絡してみると、ちょうど早期退職をしようか迷われていた時期だったようで、お話しが進んだのです。

なかには、最初は一方的にアプローチをしてお会いいただくのですが、それをきっかけに、ヘッドハンターと定期的に連絡を取り、関係性を築かれる方もおります。

信頼できるヘッドハンターと出会えたらラッキー

もしもヘッドハンターから声をかけられたら、どのように対処したらいいかがよくわかりました。

ヘッドハンターは決して怪しい存在などではなく、転職を考えた時にはとても頼りになる専門家と言えます。

ただし、日本ではヘッドハンティングはまだまだ認知度が低く、ヘッドハンティング会社もさまざまなタイプが混在するのが現状。ヘッドハンターから声がかかったら、所属するヘッドハンティング会社のHPをチェックしたり、直接ヘッドハンターと会ってみて、自分の目でしっかり見極めていくことが大切です。

次はあなたの番かもしれませんから。

 

▶ヘッドハンターが語る①はコチラ

▶ヘッドハンターが語る②はコチラ


仕事を探す
会員登録