2021
08/02

【50代の転職 賢人インタビュー】キャリアコンサルタントが語る② 転職を成功に導く秘訣とは


キャリアコンサルタントの本音第2弾

狭き門と言われる50代の転職ですが、少しでも希望通りの転職を叶えるため取り組んでおくべきことはあるのでしょうか。

厳しい状況下でも、50代の転職を数多くサポートし実績を残す国家資格キャリアカウンセラー・安藤真規子さんへのインタビュー企画全3回のうち第2回目。前回は、中高年層の転職活動は困難を極める実情をお伝えしましたが、今回はそのようななかでも「50代の転職」で勝者になる秘訣についてお聞きします。

<プロフィール>

安藤真規子

安藤真規子(あんどうまきこ)さん/株式会社Human&Mind代表キャリアコンサルタント

立教大学法学部卒後、(株)リクルートにて営業・広報・プロモーション・イベント企画の仕事に従事。2010年に独立、転職エージェント「Human&Mind」を設立。国家資格キャリアコンサルタントとして5,000人超の転職をサポートするほか、研修トレーナーや広報・プロモーション支援活動、ライター業まで幅広く活躍。

自分の武器「コアスキル」を明確にすることからスタート

――50代の転職を成功させるため、まず取り組みたいこととは?

 自分のコアスキル=メインの武器が何であるかを明確にすることが大切です。

若い人の場合「こんなこともあんなことも、幅広くできます」というやる気をPRしたり、「チャレンジしてみたい」という前向きな姿勢がウリになったり。ですが、50代の場合はこれまでの経験や実績のみが評価されることになります。

自分が一番得意とするコアスキルを明確にし、企業の即戦力となれることをしっかり売り込む必要があります。なかでも、新規事業や新しい部署の立ち上げに関わった経験、経営・マネジメント能力については重視される可能性が高いので、具体例を出してきちんとアピールできるよう準備しておきましょう。

例えば、大手企業の部長として部下を育て、新規事業の立ち上げも成功させたといったマネジメントスキルがある人は、ベンチャー企業にとても喜ばれます。ベンチャーは若い人をどんどん採用し、スピーディに事業を立ち上げていくことが重要視されますが、一方で豊富な経験を持ち、地に足をつけしっかり経営・管理してくれる人材が不足していることも。ベンチャーにとっては、喉から手がでるほど欲しい人材になり得ます。

実際「スキルの高いこんな人格者がきてくれるなら、年収1000万円出してもいい」というベンチャー企業もありましたよ。

――スキルには、コミュニケーション能力や人間性も含まれますか?

もちろん!特に中高年層には、人生経験からくる奥深い人間性が重要になってきます。メンバーのよい部分を引き出して伸ばしたり、相手の気持ちに寄り添ってよい相談相手になったり。そういった部分も重視されます。

周囲が自然に「この人の下で働きたい」と思い、いい意味で人を動かす、説得できるような人柄も、重要なスキルのひとつです。40代前半くらいまではまだ「仕事で何をしてきたか」が重要だったりします。ですが、50代ともなるとさらに大きな世界観、人生観や仕事に対する価値観が問われます。

必要なのは「強いメンタル」と「謙虚な姿勢」

――人間性が問われるという意味では、面接が重要に?

 そうですね。しかし、あくまでも前提は、書類選考を突破して面接を受けることができれば……の話です。厳しいようですが、50代の方は書類選考の段階でかなり落とされます。応募しても応募しても、結果として通過しない、というのが現状です。

ある程度のキャリアを持つ中高年層にとって、これはかなりショックなこと。今まで培った自信喪失、メンタル面で大きなダメージを受けます。プライドが邪魔して、一度、書類落ちしただけで二度と応募しなくなってしまう方もいます。また、面接で自分よりも若い面接官にあれこれ言われて腹を立ててしまい、せっかくの機会に人間性をアピールできなかった方もいます。

このような状況に陥らないためには、メンタル面での強化が必須です。たとえ不採用となっても自分に価値がないのではなく、たまたまその企業のニーズに合っていなかっただけと前向きに捉えましょう。そして、転職活動に挑戦し続ける強い心が重要になります。

また、転職活動の邪魔になるようなプライドは、いったん横に置いて謙虚な姿勢で臨むことも必要。プライドが高過ぎると、現在の肩書きに釣り合わない、自分の条件と合わないなど言い訳ばかりをしてしまい、結果、ひとつも応募に踏み切れないというケースもあります。

謙虚になることで、少しでも自分の希望とマッチする良い部分を見つけ、まずは応募してみようという気にもなれます。また、前述した失礼な態度の面接官に対しても大きな心で許容し、腹立ちの表情を出さずに済むのではないでしょうか。

――安藤さんが転職相談を受ける中で「転職に成功しやすい」と思う人は?

 コンサルティングの際、初対面にも関わらず「笑顔」で対応してくださる方は、企業との面接でも好印象を持たれると思います。

また、自信やプライドは“過剰”に持つことはNGですが、心の奥にしっかりキープしておくことは必要です。自信がある人は、態度は謙虚であっても、内面から輝きを放ち、強く惹かれるものです。

そして、ビジョンが明確で、あきらめない人。前述の強いメンタルにも通じますが、夢を語れる人、ポジティブな人は、やはり魅力的に見えます。

有料のコンサルティングを賢く活用するのが早道に!

――では具体的に、どのように転職活動を始めたらよいのでしょうか

 ハードな転職活動にひとりで立ち向かうのは苦労を伴うと思いますので、ぜひ専門家に相談を。ただし、一般的な紹介料無料のエージェントの場合、中高年層は相談にさえのってもらえないケースもあります。そのため、中高年に特化した転職エージェントを探してみる、または、有料のキャリアコンサルティングを受ければきちんと相談にのってもらえておすすめです。

ちょっと裏話をすると、書類選考は人事部が行うことが多く、人事の若い担当者が自分自身で採用像をイメージしてしまい、「卒業大学を重視、できるだけ若くて、TOEICは800点以上で……」というように勝手に採用条件を設定していることも。そこに50代の方が応募しても、やはり難しいですよね。

その点、中高年層の転職に対応するエージェントでは独自ルートを持ち、人事を通さず企業のトップに「ダイレクト推薦」をすることもあります。人生経験豊かな経営者が応募書類を見れば、スキルの高い50代の方の良さも見抜いてもらえ、即面接に繋がり、採用になったというケースもあります。

――有料だからこそ丁寧に対応してもらえるメリットがあるのですね。

 コンサルティングでは、転職希望者の価値がどこにあるのか、コアスキルの棚卸しも一緒に行っていきます。転職できる可能性がどの程度あるのか、転職のタイミングは今なのかもっとあとの方がいいのかなど、真摯に向き合い、じっくりと話し合っていきますので、まずは気軽に相談してみるといいでしょう。

転職成功のためには、自分と向き合うことも大切に

安藤さんのお話から、50代の転職は、若い世代の転職とは深刻度がまったく異なることが実感できました。

人生の折り返し地点である50歳。今後、何十年も長く続けていける仕事に就くために、転職活動は重要な意味を持ちます。

自分の仕事人生の集大成に取り組むんだという強い信念を持ち、自身の人間性にもしっかり向き合って、ぜひとも転職を成功させてください。

次の最終回では「コアスキルの棚卸し」について、より詳しくご紹介します。50代の転職においてとても重要になることです。お楽しみに!

<安藤さんの前回アドバイスはこちら!>

▶【50代の転職 賢人インタビュー】キャリアコンサルタントが語る① 中高年層の転職を取り巻く実情とは

<安藤さんの次回アドバイスはこちら!>

【50代の転職 賢人インタビュー】キャリアコンサルタントが語る③ 年収アップする「コアスキルの棚卸し」のポイント


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