2022
03/14

【50代の転職 賢人インタビュー】ヘッドハンターが語る② 中小企業の課長クラスもターゲットに!? ヘッドハンターが狙う人材とは


ヘッドハンターの本音 第2弾

日本のヘッドハンティング会社は、CMをガンガン打っている人材紹介会社と比べれば、まだまだ知名度が低いのが現状。なかには「有名企業の社長や外資系に限った話でしょ」と他人事に思う人もいるでしょう。

ところが「日系の中小企業に勤める部長・課長クラスでも、ヘッドハンティングされる可能性は十分あり得ます」と語るのは、ヘッドハンターとして活躍する月井絵美さん。

月井さんへのインタビュー企画第1弾では、ヘッドハンティングの基本を教えてもらいました。第2弾となる今回は、50代中間管理職もターゲットになる「ミドルハンティング」や、ヘッドハンターはどんな人材を選ぶかについてお聞きします。

 

<プロフィール>

ヘッドハンター月井様

月井絵美(つきいえみ)さん

株式会社プロフェッショナルバンク コンサルティングサーチ2部部長/ヘッドハンター

大学卒後、大手総合人材サービス会社に就職。その後も人材ビジネスを軸に活動域を広げ、キャリアコンサルタントや企業の採用代行、人材教育などを手掛ける。2005年に渡米。カリフォルニアで人材ビジネスに携わり、多数の実績を残す。4年後に帰国、ヘッドハンティング会社の「株式会社プロフェッショナルバンク」に転職。化粧品・医薬品・食品のメーカー、商社、建築設備業、各種エンジニアリング業界を中心に、数多くの案件を手がける。

 

年齢やポジションは関係なくマネジメント能力や即戦力スキルが重要に

―中小企業の課長クラスでも、ターゲットになる可能性はありますか?

 はい、十分にあります。当社は、クライアント(企業)の求める人材を探し出すためオーダーメイドでプロジェクトを設計します。そのため、幅広い業界、職種に対応しており、課長・部長クラスの管理職、技術者や研究者などの専門職をターゲットにする案件も数多く扱っています。

―最近は「ミドルハンティング」というのも注目されているようですが…。

 そうですね、今後は日本のヘッドハンティング業界の主流になるかもしれません。

「ミドル」とは年代のことでもあり、中間管理職のことでもあります。課長や部長クラス、管理職以外の専門職をターゲットにすることを、エグゼクティブサーチに対抗するものとして「ミドルハンティング」と呼んでいます。

日本は深刻な人材不足にありますが、特に、マネジメント層(中間管理職)は不足しています。少ないマネジメント層のなかから貴重な人材を探し出すのがミドルハンティングなのです。

―年齢的に上限はありますか? 50代後半になるとさすがにヘッドハンティングは厳しい?

 案件によりますが、比較的40代、50代を求める企業も多いです。50代後半であっても心身とも元気で十分に働ける方が多いですし、定年年齢を伸ばしている企業もあります。

また、高いマネジメント能力や即戦力となる技術力・経験値を求めると、30~40代ではまだ役不足で、必然的に50代くらいの方をターゲットとする場合もあります。

逆に、若くて、転職の意向がある人材を求めるなら、登録型の人材紹介会社でも十分に見つかる可能性がありますが、50代のマネジメント層や専門職となると転職市場に顕在する人材は少なく、なかなか見つかりません。そこで、転職市場に出ていない転職潜在層からサーチ(調査・発掘)するヘッドハンターの出番というわけです。

転職の意思に関わらず、全ビジネス人口をターゲットに徹底サーチ

 ―ヘッドハンターは、どうやって人材を探すのでしょうか?

人材紹介会社や転職サイト等に登録をしている転職希望者=転職市場に顕在している層は、日本の全ビジネス人口の5%ほどと言われています。このなかから、企業が求める優秀な人材を見つけるのは困難です。そこでサーチ型のヘッドハンティングでは、残り約95%の転職潜在層にアプローチしていきます。

当社の場合、業界でも珍しいのですが、人材のサーチ(調査・発掘)を専門に行うスタッフ「リサーチャー」を設けています。そして、案件ごとにヘッドハンターとリサーチャー複数名でプロジェクトチームを組成して取り組んでいます。

サーチ(調査・発掘)方法は、SNS・インターネット、業界紙・専門誌、各社がリリースする人事情報、自社ネットワークなどです。

また、営業系なら社内の表彰や受賞歴を、専門職なら特許情報や学会論文を調査することもあります。もちろん個人情報保護法の範囲内で、公開・公表されている情報のなかから根気よく当たっていきます。

ヘッドハンティングされる人材になるために今からできることとは

 ―自分もヘッドハンティングされたいという場合は、何か手段がありますか?

今後は、優秀な人材の取り合いがますます加速すると予想され、従来は声がかからなかった方にも十分にチャンスがあると思います。

そのため、FacebookやTwitter、ビジネス型SNSなどで転職の意向やスキルについて積極的に発信したり、人材紹介会社に登録したりして、ヘッドハンターの目に付きやすくしておくのもひとつの方法です。

ヘッドハンティングの需要が高い職種について知っておくことも大切です。ヘッドハンティングでは、転職市場にはほとんど出ていない技術者、研究者、プロ経営者、優秀なマネジメント層などの需要が高くなります。そのほか、ITエンジニアや建設技術職、施工管理者などもニーズが高い職種になります。

さらに最近の傾向として、コロナ禍で飲食・観光業が低迷する一方、物流、IT、ゲームなど伸びている業界もあります。自動車業界では今後、EV化により大きな変化が予測されますし、中長期的な視野を持っておくといいですね。

自分も声をかけられる可能性大…と、心の準備をしておくことも大切

日本の人材不足は本当に深刻で、ヘッドハンティングという採用手法は今後ますます盛んになるであろうことが理解できました。

年齢に関係なく優秀な人材はヘッドハンターから声がかかる可能性は十分あり、もしかすると、明日にでも、あなたに声がかかるかもしれません。

次回は月井さんに「ヘッドハンターに声をかけられたときの対処法」についてお話をしていただきます。

▶ヘッドハンターが語る①はコチラ

▶ヘッドハンターが語る③はコチラ


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