2022
02/04

注目集まる“FIRE”って? アーリーリタイアしたい50代が覚悟すべき理想と現実


FIRE 早期退職 老後資金

65歳や70歳になっても、現役で働くことが当たり前になりつつある昨今。会社を早期に退職する“FIRE”や“アーリーリタイア”は、会社員が憧れる生き方の一つかもしれません。

定年を待たずして会社を辞めたい50代にとって、「現実問題としていくら資金が必要なのか」は特に気になる問題です。そこで本記事では、FIREやアーリーリタイアのメリット・デメリット、早期退職に必要な資金が分かる収支シミュレーションなどを見ていきます。

会社員の憧れ“FIRE”とは? アーリーリタイアとの違い

アメリカから広まった“FIRE(Financial Independence, Retire Early)”という言葉について、日本でも聞く機会が増えました。日本語で「経済的自立と早期リタイア」を意味し、主に投資の収益で生活するライフスタイルを指します。

このFIREに対して “アーリーリタイア”は、「まとまった資金を貯めた上での退職」を意味することが一般的です。例えば老後の資金をコツコツと貯金して会社を辞めた方、ビジネスや相続で大金を手にして退職した方などが当てはまります。

早期で退職したい方のなかでも、退職後は投資などの収益を得ながら生活するのか(FIRE)、あるいは貯金を切り崩して生活するのか(アーリーリタイア)によって、必要な資金は変わると言えるでしょう。

それでは次から、FIRE・アーリーリタイアのメリット・デメリットを見ていきます。

FIRE・アーリーリタイアのメリット

自分や家族のために使える時間が増える

会社を早期に辞めるメリットとして、仕事のために使っていた時間を自分や家族のためだけに使えるという点が挙げられます。

最近はワークライフバランスの考え方が普及していますが、50代以降の世代では「若い頃はとにかく仕事をしていた」という方も多いはず。今まで激務で仕事ばかりしていた方は、会社を早くに退職することで、会社員人生とは違った形の幸せを手に入れられるかもしれません。

今の仕事が辛い場合はストレスが減る

管理職としての責任や給与に見合わない業務量、部下と上司の板挟みなど、仕事に大きなストレスを感じやすくなるのも50代という年代です。そのため今の仕事が辛い方は、会社を辞めることでそのストレスから解放されます。

また、年齢を重ねるほど病気のリスクは上がりますが、会社によるストレスがなくなれば、ストレスや過労による体調不良のリスクを下げることが可能です。

新しいことにチャレンジできる

例えば一部のボランティアや地域おこし協力隊の任務では、応募に際して年齢制限を設けているケースがあります。年齢制限のあることにチャレンジしたい方は、会社を辞めて自己実現の道を選ぶのも一つの選択肢でしょう。

また、年齢を重ねることで体力は落ち、若い頃にできたことができなくなることも珍しくありません。体を使ったことにチャレンジしたい方は、まだ体力のある早期に退職することで人生を悔いなく過ごすことができます。

FIRE・アーリーリタイアのデメリット

金銭面で将来的な不安が増える 

貯金を切り崩して生活するアーリーリタイアでは、金銭的な不安を感じやすいのがデメリットです。退職前に老後の資金を計算していたとしても、自身や配偶者の病気、あるいは親の介護など、思いもよらぬ出費が増大することがあります。

また定年退職前に会社を辞めることで、退職金が得られなかったり、将来受け取れる年金が減ったりすることもデメリットでしょう。

社会との距離が離れ孤独を感じやすくなる

職場以外のコミュニティに属していない方は、会社を辞めた後に居場所を失い、孤独を感じやすくなるリスクがあります。退職後の所属先が決まっている場合は良いですが、何の目的もなく辞めてしまうと「毎日をどのように過ごせば良いのか分からない」と途方に暮れてしまうことも。

社会との距離を感じないためにも、退職前から会社を辞めた後のプランを具体的に立てておくことが重要です。

社会的な信用を得られにくくなる

会社を退職すると「雇用されていない=収入が不安定」という理由から、会社員時代と比べて社会的な信用が落ちることも覚悟しなければいけません。

具体的には、家やカードのローンを組みにくくなることが挙げられます。家のような大きな買い物や、カードのような信用に関する契約をする場合は、退職前に済ませておくのがおすすめです。

夫婦2人…老後資金がいくらあればアーリーリタイアできる?

こちらでは、投資などの収入源がなく、貯金で生活費をまかなうアーリーリタイアに必要な資金をシミュレーションしていきます。下記は、総務省統計局が公表した家計調査報告(2020年)の平均結果です。

・勤労者世帯1世帯(2人以上)における1ヵ月あたりの消費支出は305,811円

・65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1ヵ月あたりの消費支出は224,390円

「55歳で会社を辞めて、男性の平均寿命である約81歳まで生きること」を仮定した場合の資金を、上記のデータをもとにシミュレーションしてみました。

・55歳~65歳(定年)の生活費:約31万円×12ヵ月×10年=3,720万円

・65歳~81歳(寿命)の生活費:約22万円×12ヵ月×16年=4,224万円

3,720万円+4,224万円=7,944万円

夫婦で生活する場合、7,944万円の資金が必要となります。ただ、この金額はあくまで総務省のデータをもとにしているため、各家庭の状況に照らし合わせて考えることが大切です。

ご家庭の状況に合わせて計算したい場合は、金融庁の「ライフプランシミュレーション」などが役立つため、ぜひ活用してみてください。

将来的な安定を得たいなら、退職より転職がおすすめ

いくら50代までコツコツと働いたからといって、約8,000万円を貯蓄できる方はあまり多くはいないでしょう。また上記はあくまでシミュレーションであり、不測の事態が起きた場合はさらに出費が増えることになります。

そのため資金が十分でない方や、投資などほかに収入源がない方は、アーリーリタイアを目指すのではなく定年退職まで仕事を続けるのが現実的な選択肢です。

そこで「今の仕事は堪えられない」というのであれば、転職を視野に入れるのがおすすめ。ワークライフバランスを重視した会社へ転職したり、待遇は下がるものの非正規雇用を選択したりする方もいます。

求人サイトや転職エージェントなど、まずは無料でできる転職活動を通して、自分に合った長く続けられる仕事を探すところから始めてみてはいかがでしょうか。


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