「雇用類似の働き方」という言葉…
本業と副業の関係について考える 〜複数の副業で自分を磨くAさんの場合〜
しっかりとした本業があり、そのうえで好きなこと、得意なことを仕事にして本業にも良い影響があれば幸せですよね。政府の副業推進の流れを受け、副業を推進する企業の記事や、副業に関する調査データなどをインターネット上でよく目にするようになりました。いまや、副業に「興味がある」と答える人が半数以上。しかし実態的には時間の制約や体力への不安などからなかなか初めの一歩を踏み出せない、というのが現状のようです。
Career50のスタッフとして副業関連のデータに多く触れ、副業経験者にインタビューさせていただくと「副業を既に始めている人の多くは、ベースとなる本業をこなしつつ副業でストレス解消や趣味を活かしている」と感じます。自分の興味のあることを副業とし、自分磨きを続けているAさんの事例を紹介しましょう。
本業は映像制作会社の会社員
Aさんは、都内の某映像企画製作でアシスタント兼事務をしている50代。社内での仕事の評価も良く、残業はほとんどありません。有給休暇も希望通りに取得でき、社会保険や介護休業制度なども整っている職場環境には満足しています。日頃から話をすることの多い社長に「仕事の合間の空き時間がもったいない」と相談したところ、「スケジュールを調整して副業をしてもいいよ」と理解を示してくれたそうです。
時間や体力にゆとりがあるAさん。現在は本業の他に、何と3つの副業をしています。生活を維持するための収入や、社会的な安定性、信用は本業で確保。副業では自分のやりたいことを思う存分楽しみながら、自己研鑽を続けています。Aさんの行っている3つの副業、さてどんなものなのでしょう?
その1)英語の翻訳や通訳。
大学卒業後、ロンドンに数年間留学して身に着けた英語力をさびつかせないのが目的のひとつ。週末のみ、英語の翻訳や通訳の仕事を始めました。最近は外国人観光客が増えており、観光案内スタッフとして英語を使う機会も増加。会話の量が増えて、話も弾むようになったそうです。
その2)ピラティスのインストラクター。
健康のために趣味で続けていたピラティスですが、スタジオを運営している先生から「インストラクターとしてやってみない?」と誘われたそうです。ピラティスはOLの間で密かなブームになっています。都心にあるスタジオでの事前予約制なので、お昼休みや仕事帰りなど自分の仕事時間を調整して対応。教える回数に応じた収入を得ています。メタボとは無縁のスタイルの良い体系も維持できて一石二鳥!生徒さんの羨望の的だそうです。
その3)ジュエリー販売。
若い頃から興味のあったジュエリーショップと交渉し、お店が忙しい時間帯や曜日にシフトに入れてもらい販売員として働いています。上記2つの仕事にも共通するコミュニケーション力を磨く効果もあり。英語を使う場面もあって、お客様に買っていただいた時の喜びは本業では得られないそうです。最近では、自分のお店を持ってみたいと考えるようになっているとか。
好きなことを副業にすればいいことずくめ!
Aさんは本業をしっかりと行いつつ、趣味や人生の充実、定年後の収入確保という目標をもって副業をしています。漠然と副業を始めたいと考えたというよりも、いずれも人と接することで刺激を受け、向上心を養える仕事。さまざまな国籍や世代の人とのコミュニケーション能力に磨きがかかり、本業での計画性や業務の効率化にもつながっているとのことです。
自分の好きなこと、得意なことをベースに明確な目標を持って始める副業はいいことずくめ。時間や体力に無理がなければ、ひとつに絞る必要もありません。2足のわらじどころか、たくさんの副業・複業で並行してキャリアアップ、スキルアップをしているAさん。本業を含むすべての仕事が相互に作用し、好影響を与え合っていると言えそうです。