2018
11/16

雇用と自営の中間?副業にも多い「雇用類似の働き方」って何?


「雇用類似の働き方」という言葉、ご存知ですか?雇用関係ではなく、業務ごとに業務委託契約や請負契約を結んで仕事をする、自営と雇用の中間的な働き方のことです。副業に多いフリーランスやクラウドソーシング等を利用した自営型テレワークで働く場合などが典型的なケース。企業組織に属さず「雇用」と「自営」の中間的な働き方が増加しているのを受け、厚生労働省でも検討が始まりました。「雇用類似の働き方に関する検討会」の報告書(2018年3月・厚生労働省)を基に、現状や問題点についてお伝えします。

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「働き方改革実行計画」では、拡大している雇用類似の働き方について、実態を把握し保護等のあり方を法的保護の必要性も含めて中長期的に検討する必要があるとされました。これを受けて雇用類似の働き方に関する検討会が開催されました。

報告書では「雇用類似の働き方」について就業状況、契約書、契約条件、受注ルート、契約数、仕事の時間や場所、トラブルや悩み、制度への希望、クラウドソーシングといった9つの側面から分析が行われています。

業界や職種により多岐に渡る業務内容ですが、現状調査の結果から「雇用類似の働き方」について下記の傾向が見つかりました。
・働き方の満足度が全体的に高い
・契約条件を文書等で明示していない場合が多い
・複数の発注者と契約ができず結果的に専属状態にあるというパターンが多くみられる

「雇用類似の働き方」は雇用契約に因らない働き方で、現行の労働基準法上の労働者ではないため、労働関係法令で保護されない自営業者とみなされています。一方で、実態上労働者に準ずる働き方になっている人たちについては、保護の適用を検討すべきという意見もあります。

多種多様な「雇用類似の働き方」については、現時点で全体把握ができておらず、対象者の要件を定義が困難となっています。報告書では、雇用類似の働き方をする人たちの対象や保護の内容等について、今後も議論を進めていく必要があるとされています。

今後は「契約条件の明示」、「報酬額の適正化」、「スキルアップやキャリアアップ」、「発注者からのセクシュアルハラスメント等の防止」等のさまざまな課題を整理し、保護の可能性を検討すべきとしています。

「雇用類似の働き方」についてはまだまだ議論の途上にあります。報告書の最後でも全体や実態を把握について進めるとの方向性だけが示されています。フリーランスの人数・経済規模や市場は拡大の見込みであり、諸外国においては労働者性を巡って訴訟も起きていることから、今後も「雇用類似の働き方」については慎重に議論を重ねていく必要があると思われます。


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