「働き方改革」などで副業・兼業…
副業受け入れで人材ゲット~中小企業の人手不足に特効薬!?後編~
前編では、関東経済産業局のアンケート調査による「兼業・副業による人材の受け入れニーズに関する調査報告書」より、中小企業が抱える人材に関する悩みや副業、兼業受け入れへの懸念について見てきました。
今回は、同資料より実際に副業、兼業受け入れに取り組んでいる企業へのインタビューからわかったことをご紹介します。
必要な時に必要なマンパワーを
副業、兼業を受け入れる上での企業側の大きなメリットとして、「繁忙期のみ或いはプロジェクト単位での雇用が可能」という点があります。特に中小企業では、常に多くの人員を抱えておくのは厳しいという声も多く聞かれる中、個人事業主との業務委託は大きな助けになっているようです。
具体的な業務内容としては、ソフトウェア開発やデザイン業務、工作機械オペレーターや経営アドバイザーなどさまざまです。知人の紹介からというケースが多く、中には社員の配偶者と繁忙期のみ時間給での業務委託契約をしているという事例もあります。ただ、他社従業員の受け入れに関しては、手続き上の煩雑さから考えていないという企業が多数を占めました。
人材流出を防ぎ、成長を促す
逆に自社の従業員に副業、兼業を認め送り出す側になることのメリットはどんなものがあるでしょうか。まず最初に挙げられるのは大事な人材の流出を防ぐことです。経済的に厳しい状況だったり、他にやってみたい事業があったりした場合、会社から副業禁止と言われてしまえば従業員が転職を検討するきっかけになり得ます。
逆に自社を副業OKにしておけば、副業禁止の他社で働く人々の転職先候補にもなれるのです。引き抜きリスクに関しては競合禁止を原則にすることである程度軽減できます。
また、社外での仕事をしてコミュニケーションを取ることで、本業だけでは得られない社会経験をつむことができる点も大きなメリットです。人脈が新たな仕事に繋がることもあるでしょう。また、専業で働くことを考えている求職者にも、働き方改革を推進するという姿勢をアピールすることができます。
上記のメリットもふまえ、少しずつ副業、兼業に取り組む企業が増えてきていますが、未だ課題も多く残っています。人材マッチングの難しさや手続き上の面倒などは国の対応が待たれるところですが、企業側の問題としては受け入れ態勢の整備もあります。
何よりも「副業は片手間」「専業がおろそかになる」などの偏見をなくしていくことが大切でしょう。人材不足解消のために副業、兼業制度を活用するなら、受け入れ企業がまだ少ない今がチャンスかもしれません。