2018
11/15

副業・複業…進化するワーキングスタイル!時間・空間・企業に縛られない働き方


生産人口が減少していく日本が今後も成長していくためには、柔軟な働き方ができる環境を整備していく必要があります。副業・兼業を考える際に重要なキーワードとなる「時間、空間、企業に縛られない働き方」ですが、現状および今後の課題はどうなっているのでしょうか?労働政策審議会が発表した、働き方を取り巻く環境変化に関する報告書を基に、読み解いていきます。

キャリア50-72

テレワーク、副業の現状
まず、「労働者」の定義について見てみます。労働基準法が定める労働者とは「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者(第9条)」。労働基準法上の労働者は労働関係法令等により「保護」されます。ここで注意したいのは、副業等で「時間、空間、企業に縛られない働き方」をした場合、労働基準法が定める「労働者」に該当しない可能性があり、現行の法令では保護の対象にならないこともあり得ることです。

時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のひとつである「テレワーク」について見てみましょう。介護や子育てなど時間的制約があっても能力を発揮できる働き方ですが、平成29年度の普及率は、雇用型テレワーカーの割合は9.0%、テレワーク導入企業の割合は13.9%でした。自営型テレワーカーは平成25年度の統計で126.4万人と推計されています。クラウドソーシングの拡大により、雇用契約に因らない仕事の機会が増加しているとの指摘もあります。

副業についてはどうでしょうか。複業・副業をしてみたいと希望している人は年々増加しています。やりたい仕事をしたい、スキルアップや資格の活用など理由はさまざま。しかし、本業がおろそかになる、情報漏えいのリスク、競業・利益相反になることを理由に、まだ多くの企業が副業を許可していないのが現状です。

今後の課題
テレワーク導入及び実施の際に企業側が取り組む施策として、労働時間を含む適正な労務管理、業務遂行方法の明示などが挙げられています。自営型テレワーカーについても、前述の労働者として保護の対象となるか検討されます。

副業に関しては、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」について効果的な周知を行い、副業・複業の社会的な普及に伴い必要に応じて見直すことが求められています。

現在、労働関係法令等により「保護」される対象は雇用関係が成立している「労働者」に限定されています。雇用関係に因らない働き方をしている人の増加を受け、保護の対象とはなっていない働き手に対し、必要な施策を考えることが求められています。

行政が介入すべき点、保護の必要性、多岐にわたる業種・職種の違い等も考慮しつつ、検討を進める必要があります。いずれにせよ、雇用者と労働者の双方が納得感を得られるように議論していくべきでしょう。


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