「欧米の副業事情」ということで…
日本もこうなる!?欧米の副業事情フランス【前編】
日本で「副業・複業」の波が広がりつつある中、厚生労働省の要請で実施された欧米の副業事情に関する調査。今回はフランスの副業事情についてみてみましょう。前編では副業人口、就業形態、従事する職種そして、法令・制度についてご紹介します。
副業人口
2016年のフランスの副業人口は139万人で、労働人口全体の5.4%を占めています。このうち主業が雇用労働者という人の割合は119万人で副業人口の約85.9%、労働人口全体の5.2%に当たります。この割合は2003年以降、ほぼ5~6%で安定。副業人口に占める女性の割合が80%、年齢としては40歳以上のミドル・シニア層が74%という結果になっており、フランスの副業事情の特徴と言えそうです。
就業形態
副業者の雇用形態は75%がパートタイムとなっています。パートタイムで副業をする理由としては、約半数が「主業でフルタイムの仕事が見つからないため」と回答。職種としては、家事労働者や清掃業務といった第三次産業で就業している人の割合が93%と大部分を占めていることが分かりました。
従事する職種
副業している人が従事する職種は、複数の雇用主の下、「同じ職種」で仕事をしていると回答した人が45.3万人であるのに対し、複数の「異なる職種」で仕事をしていると答えた人は73.7万人にのぼっています。複業の組み合わせとしては、「雇用労働者」と「自営業者」が、副業人口の38.4%。このうち「自営業」が主業である人が副業している割合は6.6%に留まっています。
法令・制度
副業自体は「違法」ではありませんが、一定の条件が定められています。副業する労働者には「忠実義務」の履行が求められ、「雇用主に不利益を与えてはいけない」という競業避止義務が課せられます。これは自営業者の副業に対しても適用。労働協約や雇用契約で「副業を禁止することが可能」となっているのも、フランスの副業事情の特徴の一つです。専業条項がある場合は、雇用労働者でも自営業者でも副業は禁止、となります。副業の業務内容が、勤務先の企業の事業内容と全く無関係の場合でも、禁止される場合がありますが、最高裁判所は、企業の正当な利益保護に必要不可欠とは見なしていません。なお、パートタイムの雇用契約には専業条項を盛り込むことはできません。
フランスの副業事情、前編では、副業人口、就業形態、従事する職種、そして法令・制度についてご紹介しました。後編では、労働時間・健康管理の考え方、そして社会保険を見ていきます。
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