2018
10/30

日本もこうなる!?欧米の副業事情フランス【後編】


海外の副業事情をご紹介するシリーズ。前編では副業人口、就業形態、従事する職種そして、法令・制度についてご紹介しました。後編では、労働時間・健康問題、そして社会保険に関する状況を見ていきます。

日本もこうなる!?欧米の副業事情フランス【前編】

 

労働時間・健康問題

フランスでは労働時間は厳しく規定されています。法定「最長労働時間」というものがあり、雇用主だけではなく、「労働者」に対しても順守責任を規定している、という点が特徴的です。

最長労働時間は原則として、1日10時間、1週間で48時間(もしくは、12週間の平均で44時間)となっています。これは複業労働者にも適用され、合計労働時間がこれを超えることは許されていません。

ただし、自営業者、研究・著作・教育業務、個人宅での家事、そして緊急性のある業務は除外となっています。最長労働時間の規定に違反した労働者に対しては、最高で1500ユーロの罰金が科せられることもあります。さらにこの罰金は労働者だけでなく、雇用主にも科せられる場合があります。

また、各雇用契約にある所定の労働時間を超過した場合は「超過勤務」と見なされて、超過時間に対して割増手当が支払われます。パートタイム労働者に対しても、専業、複業の区別なく割増の支払い義務が生じます。

健康管理という面では、基本、雇用主に従業員の健康診断の実施が義務付けられています。ただし、複数の雇用主の下で働く者については、主業となると雇用主の下で健康診断を受けた場合、他の雇用主の実施する健康診断を受診する必要はありません。複数就業者の場合、交通費を含めた健康診断受診にかかる総費用は、各雇用主が支払う給与額を基に按分され、それぞれの雇用主が分担して負担、となっています。

社会保険

失業保険は労働時間に関わらず支給されます。よって、複数の雇用主の下で就業していても、一部の職を失った場合、失業前に122日以上就労し、保険料を支払っていたなどの条件を満たせば失業手当が支給されます。

支給期間は、基本的には就業期間(つまり保険料を納めていた期間)と同じですが最長で2年、支給額は失業する前の賃金の57~75%で、失業前の賃金が高いほど率は低くなります。

また、複数就業者が病気やケガにより医師から労働を禁止された場合、まず全ての雇用主に報告しなければなりません。それを受け各雇用主は賃金に関する証明書を医療保険地域公庫に提出し、これに基づき休業補償額が決まります。

この他、従業員の有給休暇については、業務の状態、家庭の事情、勤続年数と共に、複数就業者の状況も含めて雇用主が配慮し、時間や期間を決定することになっています。

フランスの副業事情について、前編と後編に分けてご紹介しました。


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