2021
04/21

「孤独担当大臣」が日本でも任命?定年退職前に考えたいシニアの孤独対策


コロナ禍で気軽に人と会うことが難しい今、孤独との付き合い方や克服方法への関心が高まっています。

特に定年退職や子どもの独立、身近な人との死別など「別れ」の経験が増えるミドル・シニア世代は、早い段階で孤独対策について考えておきたいところでしょう。

そこで本記事では、2021年2月に日本でも任命された「孤独・孤立対策担当大臣」の存在に注目するとともに、ミドル・シニアが今からできる孤独対策について考えていきます。

「孤独担当大臣」が生まれたのは日本が世界で2例目

2021年2月、内閣官房に新設された「孤独・孤立対策担当室」について、実際にどのような活動をしているのか知らない方も多いのではないでしょうか。

孤独・孤立対策担当室とは、引きこもりや自殺などの社会的な孤独・孤立を解決するために発足された機関のこと。
孤独や孤立に関する政府機関を発足したのは日本が世界2例目で、1例目のイギリスでは2018年にメイ首相(当時)が内閣へ孤独担当大臣を置いています。

イギリスで孤独担当大臣が生まれた背景には、孤独が心身の健康に大きな悪影響を与えることへの懸念、そして孤独が原因で医療機関への受診数が増加し、医療費がイギリス経済を圧迫することへの危機感などがあったようです。

日本でも注目を集め始めた孤独対策「社会的処方」とは

イギリスは日本と同じく高齢化が進む国であり、イギリスの孤独対策を知ることは日本のミドル・シニア世代が抱える孤独や不安を解決するヒントにもなります。

その1つとして紹介したいのが、「社会的処方」という仕組みです。

社会的処方とは、医療機関と地域のコミュニティがつながり、人々が抱える孤独や不安を解消する取り組みのこと。
例えば精神的な不調を理由に医療機関を受診した患者に対して、医師は薬を処方するだけでなく、その患者に合った「地域のコミュニティ」を紹介します。
実際にイギリスでは、社会的処方により孤独感が解消されたという声が多く上がっており、地域コミュニティが健康に良い影響を与えることがわかりつつあります。

患者がテニスを趣味としているのであればテニスサークルを、本が好きなのであれば読書愛好会などを紹介し、患者が地域に居場所を見つけるためのサポートをするというのが社会的処方の簡単な仕組みです。

日本でのモデルケースはまだ多くありませんが、2020年に厚生労働省が社会的処方を日本で推進することを決めたことを考えると、これから日本での注目度は少しずつ上がっていくと考えられるでしょう。
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000647596.pdf

ミドル・シニアの孤独対策には地域との関わりを

これから定年退職を迎えるミドル・シニアにとって、どのように充実したセカンドライフを送るかは重要な課題です。

そこで、現在職場以外にコミュニティを持っていない方は、定年後の活動拠点として「地域のコミュニティ」に目を向けてみてはいかがでしょうか。

最近ではオンラインのコミュニティが増えていますが、ミドル・シニアのなかには「参加する勇気がない」や「デジタルツールを使うことに苦手意識がある」とハードルの高さを感じている方も少なくありません。

地域のコミュニティであればサークルやボランティアだけでなく、近所のカフェや食堂、体育館などの気軽に足を運べる場もあり、オンラインのコミュニティと比べて参加のハードルが低い点が魅力です。

「職場以外に知り合いがいない」という方は、まずはどのようなコミュニティが自分の周りにあるのか調べるところからぜひ始めてみてはいかがでしょうか。

 

【執筆者】佐藤 ひより

日系企業のメーカーで海外営業職として働く傍ら、フリーランスのライターとして活動を開始し2018年に独立。現在は、キャリア・ライフスタイル・英語学習などのジャンルを中心に執筆している。

 


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