2019
12/27

「副業時代」のパラレルキャリアの始めよう|第八回:三つの副(複)業について


ナレッジワーカーズインスティテュートの塚本です。今回は、副業の代表的な三つのはじめ方についてご紹介します。

副業(兼業)というと、よく「複数の組織に雇われる」ことを思い浮かべる方も多いと思います。週に3,4日は本業で、残りの1,2日は副業でといった具合や、夕方早くに本業を終えて、夜に副業先に出向くといったイメージがあると思います。
前回のチャート図を参考に、詳しく見てみたいと思います。

他社雇用

副業でイメージされるのはこの形ではないでしょうか?複数の会社や組織に所属する(=雇用される)働き方です。
働く側にとっては、イメージしやすいですが、実はこの働き方は副業をさせる事業者側にはまだ少しハードルが高いことになります。
その理由の一つには、「総労働時間管理の問題」が挙げられます。労働基準法では、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する(労働基準法第三十八条)とされています。例えば、労働基準法の定める、週40時間を超えた部分を副業で働く場合には、副業の事業者は割増賃金を払うことになります。また、本業の事業者もそうした労働時間を把握しておく必要があり、現実的な運用は難しいと思われます。
また、労災の認定の問題もあります。現在は、複数の会社で働いていて労災があった場合に、どちらの会社で起こったか、を基準にして、いずれか一方の保険が適用されます。
例えば、収入が少ない方の職場で労災が起こると、労災の給付も下がってしまいます。

現在、この二つの問題は政府が規制緩和の中での変更案を打診していますが、運用レベルにはもう少し時間が必要で、まだ一般的な運用は難しいとされています。これが複数社の雇用契約で副業が進まない理由になっています。

業務委託での副業

現行の法律で副業をするには、この業務委託形式が一番やり易いといえます。

「業務委託形式の契約」は、所謂「雇用契約」とは異なり、労働時間の概念がありません。もともと、雇用契約は“使用者”と“労働者”という主従関係がありますが、業務委託契約は基本的にはフラットです。基本的に合意した内容の成果物や働き方で契約がなされます。

業務委託契約には、三つの契約があります。具体的な成果物の完成を求める「請負契約」、法律に基づく行為の業務処理・一定の行為の遂行に対して報酬を受ける「委任契約」、そして業務処理/一定の行為の遂行(法律にもとづく行為以外のもの)に対して報酬を受ける「準委任契約」です。
いずれも、労働時間という概念の外の働き方ですが、特に成果物があるわけでも、法律関係の業務でもない「準委任契約」については、どのような業務を委託するのか、副業先側できちんと準備しておく必要があります。

副業で起業する

何か、自分でやりたいビジネスがある場合、まずは副業としてやってみる、という手があります。起業というと、つい「退路を断って事業に邁進する」ことが大事と思ってしまいますが、複雑化する世の中で、いきなりすべてを捨てて起業する…は少しリスキーかもしれません。欧米でも起業家の5割以上が副業で起業したデータや、アップルの創業者の一人、スティーブ・ウォズニアックやe-bayのP.オミダイアなど著名な経営者も副業で起業しています。

副業で起業するのは、収入の心配をせずに、やりたい事業をまずは小さくビジネスをスタートできる、ところが最大の魅力です。

今回は、副業の具体的なやりかたなどについてご紹介しました。
やってみたい仕事やスタートした事業があるなら、法律や会社の考えなど難しい部分もあるかもしれませんが、実は意外にも、それに取り組む方法はあるものです。
人生100年時代と言いますが、スタートするのに遅すぎるということはありません。
是非トライしてみてください。


塚本恭之

ナレッジワーカーズインスティテュート株式会社代表取締役/一般社団法人企業間フューチャーセンター代表理事

電子機器メーカー時代より複業でプロボノ団体の理事を務める。2014年10月に越境学習型研修事業を行うナレッジワーカーズインスティテュート株式会社を設立。
越境プロデューサー、中小企業診断士

【複業サポートサービス】
企業の生産性と個人の働きがいを同時に満たすことができる「複業戦略」のご支援をいたします。
詳細はこちら>>

塚本さんの他の記事はこちら>>


仕事を探す
会員登録