2019
09/03

副業社員がもたらすイノベーション!副業推進が社内改革に必要な理由


副業を容認または推進する企業が少しずつ増加している昨今ですが、ひと昔前は「二君に仕えるべからず」とでも言うかのように、副業禁止を規定に入れている起業がほとんどでした。しかし、今や大手ですらその限りではありません。

こうした動きが出てきたのは、当然副業を認めることで起業側にもメリットがあるという認識が広がってきたからです。企業における副業推進のメリットは何なのか、今回は企業のイノベーション創出の視点から副業推進を考えてみます。

キャリア50-75

グローバル化が進む現在、競争相手は日本国内だけでなく、外国、さらには異業種にも広がりつつあります。自社のあるべき姿を描き、経営側と従業員が一丸となって働き方や働く意識を変えなければ、生き残っていくことは難しいと言えるでしょう。

2015年の調査で日本の労働生産性は、「OECD加盟35ヶ国中22位」と先進国の中でも低い状態にあり、産業全体の大きな課題となっています。労働生産性向上を目指し、現在、政府主導の働き方改革が進められているところです。

ではどのように働き方を変えていけばよいのでしょうか?課題は「生産性の向上」です。立正大学の吉川教授によると生産性の向上には2種類の意味があるとのことです。ひとつは効率化すること、もうひとつが創造性の向上、つまりイノベーションの創出です。

イノベーションは英語で技術革新を意味する単語「innovation」から生まれた用語。ビジネスの場では主に「新たなものを創造して変革を起こすことで経済や社会に価値を生み出す」という意味で用いられるので、その内容は単なる技術の進歩とは限りません。

例えば、まんじゅうを作る場合で考えてみましょう。効率化するとは「1時間当たりに作るまんじゅうの数を増やすこと」、創造性の向上とは「世の中の変化に合わせて売れるまんじゅうを新たに作り出すのこと」を指します。

今までは効率化することを重視する傾向にありましたが、これからは創造性の向上が特に重要。そして創造性の向上に不可欠なのが「イノベーション」です。イノベーションは多様性から生まれると言われ、さまざまな知識やスキル、経験の組み合わせから創り出されるものです。副業を始めとする「多様な働き方」を認めることにより優秀な社員を引き留めることや、新しい採用が可能になります。

副業を推進することで企業が得られるものは何でしょうか?ひとつに従業員の「自律性の向上」があります。副業をする際は、会社名でなく個人の名前で仕事をする機会が多くなり、自分の責任において行動する必要に迫られます。「修羅場」などを経験すれば、スキルの向上とともに自律性が育つことでしょう。さらに社外で得た知識、スキル、経験を社内に持ち込むことにより、オープンイノベーションの可能性を高めます。

実際に副業を解禁している企業でも、主力事業から派生する形での新規事業立ち上げや、新しい提携先の発掘を狙いのひとつとしているパターンは少なくありません。「こんなこともできるのでは?」というアイデアが生まれ、それが事業として発展していく。まさしくイノベーションの形のひとつと言えるでしょう。

イノベーションの創出は「働き方改革の第二章」とも言われ、これからの重要なテーマです。国際会議「世界経営者会議」でも、多くの経営者の間でイノベーションの必要性について話し合われました。

副業導入に関しては、従業員の労働時間及び健康の管理、情報漏えいや競合禁止の防ぎ方などこれから考えるべき点も多くあるのも事実です。しかしこれからの時代、企業にとってイノベーションの創出は生き残りに必要不可欠な喫緊のテーマ。副業推進は社内改革に向け、大きな打ち手のひとつになっていくと考えられます。


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