2021
08/04

40歳50歳はハナ垂れ小僧!? 渋沢栄一の格言に見る人生100年時代を生き抜く知恵


渋沢栄一

大河ドラマ『青天を衝け』も折り返しを過ぎ、近代編に突入しました。『青天を衝け』では人気俳優の吉沢亮が主演をつとめ、2024年からは新一万円札の顔ともなる「近代日本経済の父」渋沢栄一は、生前に数々の金言・格言を残したことでも有名です。

なかでも今あらためて腑に落としたいのがこの言葉。

「四十、五十は洟垂れ(はなたれ)小僧 六十、七十は働き盛り 九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ」

今回は渋沢栄一の生涯についておさらいしたうえで、50代が活かせる意味を考察していきます。

ドラッガーにも影響を与えた「近代日本経済の父」渋沢栄一

渋沢栄一は明治から昭和にかけて活躍した実業家です。

年少時は家業の農業・藍玉商業に従事して過ごしましたが、のちに才能を認められ徳川慶喜に仕えます。パリ万国博覧会幕府使節団に加わりヨーロッパに渡航。近代的社会経済の諸制度・産業施設を見聞しました。

その後は大蔵省官吏を経て、第一国立銀行・王子製紙・大阪紡績をはじめ、なんと500以上の会社設立に参画しています。実業界のリーダーとして、近代的財政・金融・貨幣制度の導入に尽力。日本資本主義の発展に貢献しました。

あのピーター・ドラッガーにも影響を与えたといわれており、現代社会に与えた功績は計り知れません。

さらに1916年に実業界から引退したあとは、晩年にいたるまで社会・福祉・教育・文化事業や民間外交などに尽力しています。

これらの実績から福沢諭吉に並ぶ日本経済の近代化の最大の功労者として、2024年から導入される新一万円札の肖像にも採用されました。

人生100年時代に息づく渋沢栄一の格言

そんな渋沢栄一が残した格言のひとつが先述の「四十、五十は洟垂れ(はなたれ)小僧 六十、七十は働き盛り 九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ」です。

まるで「人生100年時代」といわれる現代社会を予言するような言葉ですね。

現代は人々の平均寿命が伸びていく一方、長期的な不景気によって、老後の生活資金を退職金・預貯金からの金利・年金だけでまかなうことが難しくなっています。政府は「一億総活躍社会」を目指して働き方改革を推進し、定年も65歳に引き上げられました。

もはや「定年まで働いて引退」という従来のライフステージを万人に当てはめることはできません。渋沢栄一の金言が示すような「70代でも現役」が当たり前の時代は、すぐそこまでやってきているのです。

リンダ・グラットンは『LIFE SHIFT』のなかで、人生100年時代を生き抜くためには金銭的な有形資産だけでなく、知識・スキル・健康・人間関係といった「無形資産」が重要だと提言しました。

無形資産はそれ自体が人生を有意義にしてくれるのはもちろん、有形資金の形成にも寄与します。例えば希少性のある知識・スキルは、転職・再就職の際に強力な武器になるでしょう。また幸福感をもたらす良好な人間関係は、前向きなエネルギーをうむ源です。

ただし無形資産は一朝一夕で築かれるものではなく、日々の積み重ねが欠かせません。

自分に足りていないのはどのような無形資産か、老後を生き抜くためにはどのような努力が必要かといったことに目を向け、動き出すのに、人生の折り返し地点である40代、50代はベストのタイミングと言えるでしょう。

渋沢栄一の金言が「四十、五十は洟垂れ小僧」という言葉からはじまっているのも、現状に満足せず「今こそ老後の人生に備えるべき」という忠告なのかもしれません。

無形資産を駆使して生涯現役をつらぬこう

渋沢栄一は91歳と当時からすれば異例といえるほどの長生きで、精力的に活動を続けました。まさに「無形資産」を駆使して人生を生き抜いた、お手本のような人物なのです。

また晩年にいたるまで常にバイタリティに溢れていた渋沢栄一の人生からは、「生涯現役」こそが最大の元気の秘訣だということを教えられます。

定年後も仕事に限らずさまざまな活動に挑戦しつづけること。その力を蓄えるために、長期的な視点をもってすぐにでも動き出すときです。100歳までの人生を豊かにするか否か、その鍵はいまのあなたに握られています。

 

 


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