2018年7月に開かれたSOZ…
みずほ総研「副業・兼業の可能性」から読み解く ミドル・シニアの未来【広がり編】
前回の「副業・兼業の可能性」から読み解くミドル・シニアの未来【現状編】に続き、副業・兼業がどのような可能性をもっているのか、その展望についてご紹介しましょう。
副業が経済を活性化
みずほ総研の算出によれば、副業の潜在的希望者は2200万人。副業を希望する多くの人たちが、実際に副業をできるようになれば経済活性化が期待できます 。
仮に、潜在的希望者が副業をした場合、短期的に1~2兆円程度の賃金増加が見込めるとのことです。賃金増加により消費が増加することを考慮すると、GDPを約0.1%押し上げる試算となります。副業を許可する企業が増加し、希望者が副業をできる環境になれば 、賃金増加額は上記の算出より更に増加すると考えられるのです。
ミドル・シニア層の副業希望分野の特徴
みずほ総研算出の産業別の潜在的な副業希望者数(※)によると、ミドル・シニア層では農林業での副業希望者数が最も多く、卸売業・小売業、医療・福祉、教育・学習支援提案などが続きます。
ミドル・シニア世代の中には、セカンドキャリア形成を農業、医療福祉、教育関連の分野を念頭に置いている方が多いのかもしれません。
(※2017 年の副業実施者から性別・年齢別に産業別の副業実施割合を算出し、これに性別・年齢別の副業希望者数を乗じて足し合わせることで算出)
ミドル・シニア層の雇用形態別にみた副業理由
本業の雇用形態・年齢別に副業希望理由の副業希望者数の分布をみてみると、それぞれに副業を行いたい理由も異なるようです。
ミドル・シニア層の正規社員は「生計を維持するため」「貯蓄や自由資金を得るため」といった理由で副業を行いたいと考えていることが分かりました。所得を補填するための理由に続いて「新しい知識や経験を得たい」、「人脈を広げたい」といった理由も挙げられています。
一方でミドル・シニア層の非正規社員を見てみると、正規社員と同様、所得の補填が副業の一番多い理由となっていますが、スキルアップのために副業を考えている人は、正規社員に比べると少ないという傾向があります。
副業することでスキルアップの可能性
みずほ総研のレポートは、副業・兼業を通じて労働者の生産性が上昇することで、副業による経済効果がより大きくなる可能性があると示唆しています。 副業・兼業を行うことで、労働者のスキルアップへの意欲が高まるとみられているのです。
米国の調査によれば、副業・兼業という働き方を選択しているフリーランサーは、そうでない人に比べスキルアップのための教育訓練を受講する人の割合が約1.5倍となっているそうです。副業・兼業を行っている人ほど、スキル向上のために行動していることから、副業がスキルアップ意欲への刺激となっていることが考えられます。
経済の活性化につながる副業
みずほ総研のレポートをもとに副業・兼業の現状と、今後の広がり方について前編と後編、2回に分けて紹介しました。データからは所得の補填を目的に副業を行いたいと思っている人が多いという現状が浮かび上がっています。
また、副業のもつ別の意味として、所得の補填だけでなく、本業とは異なる環境に身を置くことで、新しい知識やネットワークを構築する機会を得るというメリットも見えてきました。
ミドル・シニア層の副業人口の増加は、経済の活性化にも貢献する可能性があります。 自分に合った仕事を長く続けることで、可処分所得が増加しライフスタイルも活発なものになるのではないでしょうか。人生100年時代に向け、いきいきと豊かに生活するためにも今から副業という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。