「働き方改革」などで副業・兼業…
きっかけは待機児童問題解消? ドン・キホーテの副業解禁 ~企業取り組みの最先端(1)~
経済産業省の「兼業・副業を通じた創業・新事業創出事例集」より、今回からは企業側の取り組みを紹介していきます。ビッグコンビニエンス&ディスカウントストアとして有名なチェーン店を運営する株式会社ドン・キホーテ。同社ではパートタイム従業員と、フルタイム有期雇用社員(専任社員)に副業・兼業を認めています。
過重労働を防止するため、認められる業務の範囲は兼業先と相互に協力したうえで労働時間等を把握できる限りとなっています。社内手続きとして、申請書兼誓約書の提出と法人間での覚書締結、兼業用出勤簿への記入が必要です。
待機児童問題から副業解禁へ
副業解禁のきっかけは、店舗勤務の選任社員2名から同店にある保育施設でも働きたいという要望があったことでした。同社が保育施設の運営委託先である株式会社ママスクエアへ確認し、人手不足であることが判明。副業を認めることで受け入れ可能な児童の数が増加し、待機児童を抱える主婦層の雇用にも繋がると期待し解禁に踏み切ったそうです。
副業先となるママスクエアとの間で従業員の健康管理などに関する覚書を締結。また本業副業双方での労働時間実態を一枚の出勤簿で管理する仕組みを導入し、従業員への健康配慮などを行う予定です。
労働人口の減少などの解決へ
待機児童問題は、少子高齢化で減りつつある労働人口の減少に拍車をかける要因の一つ。子供を保育施設に預けられる人が増えれば、働ける人の数も増えることになります。また現状は試行運用の段階ですが、うまくいけば過重労働を防止しながら兼業者の手取り賃金増加も達成可能だそうです。
デメリットとしては、労働時間管理のための労務事務作業の増加があります。また、別事業場で働いている従業員の労働時間をどこまで知っていると認定されるのか、兼業内容に管理監督者や個人事業主だった場合どう取り扱えばいいのかが、労働基準法上で曖昧だということがあります。
こうした問題について、同社は国策での取り組みを期待すると述べています。具体的にはまず労働基準法第38条の労働時間通算について国から具体的な指針を提示すること。そして、労務事務低減のためのITシステム整備等について、各社での開発となると負担が大きいことから、国主導での開発し公開することの2点です。同社のような有名企業が副業解禁を進めていくことで、社会全体の副業推進に繋がることが期待されます。