インテージリサーチが実施した「…
「働き方の未来2035」から想像する30年後の「シニアのシゴト」【後編】
前編では、2035年の社会においては働き方が大きく変化していることが予測されるとお伝えしました。
その中で、考えられるケースについて厚生労働省主催の懇談会の報告書「働き方の未来2035」からご紹介します。
ケース1【2016年:50歳 2035年69歳、女性】
彼女は50過ぎまでは会社の経理業務に就いていたましたが、経理はAIが代替するようになります。2031年頃に病院へ転職し、そこで働きつつ心理学の勉強をしてカウンセラーの資格を取得。病院ではAIやVR技術の活用によりかつての医師不足や看護師不足の問題も解消されており、ワークライフバランスも改善されています。彼女の仕事はAIを使った問診の補助です。患者がリラックスできるように声をかけつつAIを操作し問診をします。
これは少子高齢化により医療分野での人材需要が増えるという予測と、患者の心理ケアというAIでは果たせない役割を人間が担うという想定をふまえた事例ですね。
「働き方の未来2035」の中では、転職のために新たな知識を求める人々へ勉強の場を提供する仕組みが必要という部分にも触れられており、将来的には行政から何らかの支援が受けられるようになることが期待できます。
ケース2【2016 年:61 歳 2035:年 80 歳、男性】
彼が新卒で入った会社の定年は65歳でした。しかし人手不足により、70歳までその企業で勤めることになります。66歳からは小さな会社を起業して副業を開始。その収入と退職金があったため経済的な不安はありませんでしたが、引退しようという気分ではなかったため、71歳以降も働き続けることにしました。
といっても会社勤めではなく、インターネットで受注したボランティアの仕事です。彼の専門の仕事はAIを搭載したロボットが代替するようになっていましたが、文化保護団体から以前の仕事のやり方を保存するという目的で発注が来るのです。報酬はロボットが使う電気代程度ですが、彼にとってはやりがいのある仕事です。
そこで判明したことが、AIと人の手とでは仕上がりに微妙な差があるということでした。結果として再度人間の仕事としての見直しが始まり、彼の技術も役に立つ可能性が出てきています。彼は昔の仲間に声をかけ、近々NPOを設立しようと考えています。目標は100歳まで生涯現役、健康のため近所のプールで週に3日泳いでいるそうです。
こちらは生きがいとしての仕事に着目した事例です。定年まで働いて十分な蓄えがあったとしても、むしろ蓄えがあるからこそこういう働き方も出来るわけですね。
身体的負担の少ない働き方が可能になれば、老後の活力のために働き続けるという選択肢も生まれてくると見込まれます。
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上に挙げたケース以外にも、技術の発達と社会の変化によって正社員という枠にとらわれない様々な働き方が生まれてくることが予想されます。20年後の未来へ向けて、今一度自分のキャリアプランを考えてみるのもよいのではないでしょうか。