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50代 生涯の職場を見極るモノサシは「心理的安全性」と「自己実現性」
40代、50代からの転職も珍しくない昨今、いまの会社にとどまるべきか否かで迷っている方は多いのではないでしょうか。
会社員が転職すべきかどうかを見極めるための基準に「心理的安全性」と「自己実現」があります。この二つの概念を念頭に置けば、会社にとどまり続けるべきかどうか、転職するとしたらどのような職場を選ぶべきかについて、より正しい判断が可能です。
そこで本記事ではそれぞれの概念について掘り下げて紹介していきます。ぜひ今後のキャリアプランを考えるうえで参考にしてくださいね。
職場には心理的安全性が重要
「心理的安全性(psychological safety)」とは「組織のなかで自分の考えや気持ちを発言しても、拒絶されたり罰せられたりすることなく人間関係を維持できると確信できる状態」を指す心理学用語です。
組織やほかのメンバーにとって耳の痛いような改善案・疑問・批判をぶつけても、無視やいじめなどを受ける恐れがないという安心感。これはある意味で、日本人特有の「空気を読む文化」とは真逆の概念と言えるかもしれません。
そしていまこの心理的安全性が世界中の企業で注目されています。
心理的安全性が高い職場では、新しくて創造的なアイデア・意見・疑問を率直に発信することが可能です。そのためイノベーションが起きやすくなり、生産性向上にもつながるでしょう。また仕事に集中しやすくなることで、パフォーマンス向上も期待できます。
さらに人間関係の不安が生じにくくなればコミュニケーションが活性化して、情報交換がスムーズになるだけでなく、従業員の帰属意識を向上させることも可能です。結果として責任感の向上や離職率の低下といった効果が得られます。
このようにさまざまなメリットのある心理的安全性を高めるために、感謝・称賛・激励などのコミュニケーションを促進する「称賛文化」の醸成を行っている企業も少なくありません。従業員同士が称賛とインセンティブを贈り合えるWebサービスもあり注目を集めています。
生きがい・やりがいを得るための自己実現
心理学者アブラハム・マズローが提唱した「欲求五段階説」によると、人間の欲求には次のような5つの段階があります。
- 生理的欲求:生存に必要な欲求(食事・睡眠・排泄)
- 安全欲求:安全かつ安心な環境で暮らす欲求
- 所属欲求:家族・会社といった集団に所属する欲求
- 承認欲求:集団の中で尊敬される欲求
- 自己実現欲求:自分らしく生きていく欲求
マズローによると人は低次の欲求が満たされると高次の欲求に移行していき、最終的に「自己実現欲求」に行き着くのだとか。
また低次の欲求ほど外界に左右されやすいという性質もあり、最高次の自己実現欲求で基準になるのは自分自身の価値観だけです。欲求が満たされるかどうかは最終的に自分次第となるため、かなり自由度の高い状態だといえるでしょう。
さてこの説に照らし合わせると、心理的安全性が関連する欲求は「安全欲求」からせいぜい「承認欲求」まで。つまり心理的安全性が担保されているだけではまだ不十分であり、本当の意味での「生きがい」を得るまでには至らないのです。
自己実現できる会社に転職しよう
人生100年時代に突入した現代。定年が延長されて定年後に働く人も増えています。
生涯にわたり働き続けることを考えれば、生きがいやモチベーション維持のためにも「仕事のやりがい」の点で妥協するのは得策とはいえません。きれいごとではなく人間の性質として、人が最後に求めるのは地位でも報酬でもなく「自分らしさ」だからです。
自己実現を目指すためには心理的安全性が高いだけでなく、自己裁量権が大きい職場、あるいは「天職」だと思えるような仕事を探すことが重要でしょう。また「自己実現=仕事」と限定せずに、プライベートを充実させるのも一案です。
いずれにせよ50代の会社員が今後のキャリアを考える際には、第一に「本当にやりたいこと」「大切にしたい価値観」を明確にする作業は欠かせません。
そのうえで現在の仕事を継続したときに自己実現ができるかを自問してみます。もし答えが「NO」なら50代での転職も考えて動き出しましょう。