中小企業庁 創業・新規事業促進…
個人と法人って何が違うの? ~創業のチュートリアル⑥~
本シリーズも残す所あと2回。前回は公的な補助金や融資制度についての話をしました。引き続き中小企業庁 創業・新規事業促進課発行冊子「夢をかなえる創業」より、今回は個人事業主と法人の違いについてチェックしていきます。
人数や規模の差だけではない、個人と法人の違い
個人事業主になるには、極端に言えば開業届を出すだけでよく、事業内容も自由で変更に制約はありません。対して法人は会社設立登記手続きに手間と費用がそれなりにかかる上、事業の内容を書類に明記した上で変更の度に手続きが必要です。また経理事務の面でも会計帳簿や決算書類などの作成をしなければならず、事務作業の負担は多くなります。
法人になるメリット
法人での運営には優れた点も多くあります。まず、一般的に個人事業主よりも信用力が上がり、取引や融資、従業員の募集などで有利です。また、会社として健康保険や厚生年金に加入していれば経営者である役員も加入することができます。さらに会社と役員の個人的な財産が区分されていて、会社を整理する際にも出資分を限度に責任を負う有限責任が適用されています。ただし、代表者などが取引の際に連帯保証をしていた場合は保証責任を負うことになる点には注意が必要です。
創業時の必要書類はさまざま
個人事業主と法人、どちらにしても創業時に出す書類は多岐にわたり、期限もあるので注意しましょう。ほとんどのものは税務署宛です。
個人事業主なら主に「個人事業の開業等届け出書」「所得税のたな卸資産の評価方法の届け出書」「所得税の減価償却資産の償却方法の届け出書」「給与支払い事務所等の開設届け出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届け出書」などがあります。
法人は「個人事業の開業等届け出書」の代わりに「法人設立届出書」を、設立の日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。また、個人事業主で挙げたもの以外に社会保険関係の届出書類も必要になります。届け出先は年金事務所、公共職業安定所、労働基準監督署、都道府県労働局です。年金事務所に関しては、個人事業主も従業員5人以上の場合は強制加入となり国民健康保険と国民年金が適用されます。
始めやすいのは個人事業主ですが、事業を大きくするなら資金調達面などで法人が有利です。自分のやりたい事業や資金と相談し、どちらがいいかを考えてみてください。
次回はシリーズ最終回、株式会社以外の会社の形について紹介します。