40代、50代からの転職も珍し…
コロナ禍で変わる働き方「中間管理職不要論」に50代はどう向き合う?
数年前から「中間管理職不要論」という言葉がちらほらと聞こえるようになりました。「部下に仕事を振っているだけ」や「書類を確認・承認しているだけ」などと厳しい意見もありますが、果たして本当に中間管理職は不要なのでしょうか。
コロナ禍で働き方が変わり、今後のキャリアに不安を感じる方も多い昨今。今回は、中間管理職の働き方はどのように変わったのか、そして50代で新しい職場へ転職することは可能なのかについて考えていきます。
コロナ禍で苦労する中間管理職の存在が浮き彫りに
コロナウイルス感染拡大を受けて今までと働き方が変わり、苦労している中間管理職は少なくありません。働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を運営するチームスピリットによると、大企業で管理職・中間管理職として働く方の56%が「コロナ禍以降でマネジメントの難易度が上がった」と答えています。中小企業においては44%が同様の回答をしており、大企業より割合は低いもののコロナ禍で働きにくさを感じている方々の存在が分かりました。
全国の企業のテレワーク実施率自体は約2割前後と低水準ですが、「3密」を避けたりソーシャルディスタンスを保つために働き方が変わったことが働きにくさの要因のひとつと言えそうです。
コロナ禍で部下とのコミュニケーションに難しさも
上記の調査において、「なぜマネジメントの難易度が上がったのか」という理由まで詳しくは述べられていませんでした。ただ、メールやチャットなど文章でのコミュニケーションが増えたこと、距離に阻まれメンバーとコミュニケーションする時間を確保できないことを理由として挙げている方も多いようです。
コロナ禍で中間管理職のマネジメントスキルがより一層求められるなか、「このまま今のポジションで働き続けられるのだろうか」と不安になるのは仕方がないもの。特に「中間管理職不要論」という言葉を聞けば、自分の社内での立場を危うく感じることもあるでしょう。
社内で居場所がないと感じる兆候
中間管理職として自身の居場所がないと感じ、転職を考える方は珍しくありません。中間管理職が「自分は社内に不要なのでは……」と感じる理由の例として、下記が挙げられます。
・部下が自分ではなくさらに上の上司に報告・相談する
・業務内容が確認・承認ばかりになる
・部下と上司の橋渡し的な役割が多い
上記のような「いてもいなくても変わらない」業務や役割が増えることで、自分は居場所がないと感じ、社内での立場に危機感を覚える中間管理職は少なくありません。上記の状況を改善するためには、中間管理職よりさらに上の立場への出世を目指したり、管理職でありながらプレイヤーとして働きかけたりといった工夫が鍵となります。
50代・中間管理職から転職は可能なのか
転職を考えた時、まず気になるのが“50代・中間管理職”という立場からの転職は可能なのかということ。結論から言うと、不可能ではありません。ですが、転職する際の条件やポジションなどが、必ずしも希望通りになるわけではないことを覚えておく必要があります。
例えば多くの企業では、課長のような中間管理職、そして次長や部長などの管理職になるための人材を若手の頃から幹部候補として育てます。すでに社内にいる人材のなかから中間管理職・管理職を選抜することが多いため、中途採用として中間管理職の立場を得るのは難しいと言えるでしょう。
また、50代という年齢もあり、企業側は高い給与を支払うことを念頭に置きます。「高い給与を支払ってまで雇う価値があるか」ということを面接の際は厳しく見られるため、若手と比べて採用のハードルはどうしても上がってしまうのです。
50代・中間管理職が転職を成功させるポイント
今の会社で課長や係長など中間管理職の立場まで上り詰めたなら、できれば転職先でも同等のポジションを得たいと思うはず。こちらでは、50代・中間管理職が転職を成功させるためのポイントを解説していきます。
同じ業種・職種を狙う
中間管理職は、部下を育成・評価したり、時にはプレイヤーとしての役割を果たしたりなど、さまざまなスキルが求められます。これらの業務スキルを、異なる業種や職種でいきなりこなすのは難しいもの。そのため転職先を探す際は、同じ業種や職種を選択肢に入れるのが良いでしょう。
会社の体制や規模を調べる
特に大手で歴史の長い企業の場合、新卒で入社した社員のなかから管理職や中間管理職を選ぶ傾向が強いです。すでに社内に幹部候補がいるため、中途入社でポジションを狙うのはかなり難しいと言えます。そのため転職先には、管理職や中間管理賞が足りていない中小企業や、設立してまだ歴史が浅いベンチャー企業を狙うのもひとつの考え方です。
キャリアを洗い出す
転職では、事前にキャリアを洗い出すことが重要です。中間管理職としての実績や経験だけでなく、一般社員だった時にどのような業務に携わり、どのようなスキルを身につけたのかなどを細かく洗い出しましょう。洗い出した後は、どのような点が転職先で活かせるのかアピールポイントを明確にすることが大切です。
50代中間管理職の転職は“戦略的”に
上司と部下の板挟みになりがちな中間管理職は、「今の立場で働き続けるのが辛い」と感じがち。ですが、転職したいと考えても、今の課長や係長というポジションを捨てるのには勇気が必要です。
そこで、希望の条件で転職したい50代中間管理職は、戦略的に転職することを考えましょう。自己分析や志望動機づくりに加えて、好条件で転職できる業種や職種、会社を知ることが重要です。「何から始めれば良いのか分からない」という場合は、転職エージェントなど無料のサービスも使えるので、ぜひ検討してみてください。