2021
12/01

【40・50代転職体験<寄稿>】40代目前に生まれ故郷を離れ東京へ。度重なる転職で少しずつステップアップし今では大手IT企業のディレクターに(M・Fさん/49歳男性)


体験談 40代 50代 転職

私は現在49歳。大手IT企業に転職し、8年が経とうとしています。

ここに至るまで、紆余曲折がありました。

高卒で地元企業に就職。途中1回の転職を挟んで、20年近く経った38歳の頃。40代を目前に、成功を夢見て、憧れであった東京進出を果たしたのです。

上京後は3年で3回転職。苦労は覚悟していましたが、時には騙されたりなんだりで、心が折れそうになったことも。

しかし諦めない気持ちが奇跡を呼んだのか、超大手企業に転職することができたのです。これは、そんな私の波乱万丈の転職体験記です。

生まれ育った北海道で30代後半まで働いたあと一念発起し上京&転職活動スタート

 もともとPCに興味があり、高校は、PCを使う情報処理の授業があった地元高校の商業科へ進学。卒業後もPCを使う職種を希望し、地元の印刷・デザイン会社に就職しました。

ここで、印刷物や看板のデザインを担当。後半は、電子化した書類のデータベース構築や保守設計に携わりました。

入社から14年ほど経った頃、地元で実績のある食品メーカーのECサイト部門に募集が出ていることを、たまたま知りました。

ちょうどECサイト運営に興味があったので、興味本位で応募したところ、何と採用に! 最初の職場で身につけたデザイン力やPCスキル、管理者スキル、提案スキルをしっかりアピールできたのが、採用に繋がったと思っています。

こうして転職を果たし、最初はECサイトのデザイン・販促担当に。3年目からは、国内有数のECショッピングモールに出店する通販サイトの店長を任され、毎年、売上アップという結果を残しました。

食品メーカーに転職して5年。十分なECサイト運営スキルが身につき、実績も残していた頃のことです。

ECショッピングモールを運営する大手IT企業の担当コンサルから、「このまま北海道にいるのはもったいない、絶対、東京で通用する」と言われました。これがきっかけで、“東京進出”を考えるようになったのです。

そして、東京行きを考えていることを伝えてみると、たまたまECサイト系人材紹介部門を統括している方と面識があり「いくらでも紹介するので、ぜひ来てほしい」と言われたことも後押しに。

EC店舗運営スキルを求めている企業の何と多いことか! 自分さえその気になれば、もっともっと上を目指せる! そう気づき、東京への転職に踏み切りました。

生まれてこの方、北海道以外で暮らしたことがなかった私が、38歳にして大冒険。「独身は自由でいいね」と思うでしょ? でも実はこの時すでに結婚していて、妻と実父の3人暮らしでした。

妻も一緒に東京へ行くことはすんなり決まりましたが、父を一人で地元に残していかなくてはならず、親戚を説得するのも大変でした。

周囲からの大反対は目に見えていましたから、じっくり計画を練り、「5年やってモノにならなかったら地元に戻るから挑戦させてほしい」と説得を繰り返し、牙城を切り崩したのです。

上京し、そう上手く転職先が見つからないことも想定。「2年間はまともに給与を得られなくても、なんとかやっていける資金」を準備しました。もともとあった貯蓄に加え、地元で乗っていたクルマをはじめ、売れるものはほぼ売り尽くして資金を調達。

周囲への説得・根回し、資金づくりなど、綿密な計画を立てて着実に実行、しっかりと準備をしてから移住しました。

北海道から東京に進出し就職した最初の会社は順調に思えたが…

2年……これは、都会の企業のスキルを様々な方向から身に着けるために、数社を転職しようと初めから決めていた期間。

東京移住と同時に転職活動をスタート。私が利用したのは、ECサイト系専門の転職サイトです。これまでのスキルを最大限に活かすべく専門の転職サイトに登録することで、3社紹介されて2社面接し、1社に決定するという、効率的な転職活動を実現できました。

転職先は飲食店経営や食品卸売業を行う大手で、ECサイトの運営を任されました。都心にあるおしゃれなオフィスで、実力と熱意のあるスタッフに囲まれ、毎日が充実。給料も人並み、休日もしっかり取れて最高!……と思っていましたが、EC部門は利益が非常に薄く、まだまだ収益化には程遠い状況でした。

ネットショップの責任者として1年が過ぎた頃。収益化は遠い状況が続いていましたが、売上目標が一気に上るなど状況が一変。ECサイトを軌道に乗せる段階としては現実的ではない、高すぎる数字を求められるように。

信頼していた上司も徐々に机上の空論の数字を述べるようになり、ECサイトの運営自体の雲行きが怪しくなってきていました。

口車に乗せられ転職した先は狭いオフィスに罵声が響く「社長と自分だけ」の会社

転職して1年4カ月。そんな時、私に声をかけてきたのが小規模ベンチャー企業でした。オフィスは恵比寿駅から徒歩5分圏内と立地も良く、ホームページを見てもそれほど悪くない印象。

オープン間もないECサイトの立て直しをしてほしいと、社長直々に説得されました。会食をしながらのラフな面接。少し無茶をいう社長だなと思ってはいましたが、お酒が入ったこともあり、気分が良くなったところで「部長職にしてやるから来い」と言われ、二つ返事で入社を決めてしまいました。

2年は転職を繰り返すことを明言していましたので、家族の反対はありません。今までECサイトの立て直しはやったことがなかったため、良い経験になると思ったのです。

しかし、これが大失敗。いざ入社してみると、オフィスビルの1室で社員は社長と、その時、ECサイトを任されていたパートの女性のみ。正直、“騙された!”と思いましたが、部長待遇の給料も提示されていたので仕方なく働き始めました。

私と入れ替わりにパートの女性が仕事を辞め、社長と私の二人企業がスタート。まともに運営されていなかったECサイトを立て直すため、毎日終電まで一人残業の日々。

ECサイトを何とか正常に稼働する状態までもっていき、社長から設定された月商1000万円の高い目標も、今までの経験を活かしてなんとかクリアしました。

社長の意向で、徐々に単価の高い商材を売る方向にシフトしていきましたが、次に販売ターゲットとしたのは年末に競合が多い海産物とおせち。

動き出す時期も遅く、取引先から半ば強引に確保した商材を売ることになりましたが、世間を騒がせた「スカスカおせち事件」の影響もあり、レビューや実績のない新規店が売れるはずもありません。

社長の要求に応えられない私は毎日のように罵声を浴びせられ、だんだんと働く意欲がなくなっていきました。

ブラック企業ではあったけれど、ここでの経験は私にとってとても重要なものに。価格競争以外で売れるノウハウ、商材の目利き、取引先との駆け引き、弱小企業が大企業相手にどう対峙すれば良いか……。いろいろと勉強させてもらいました。

そして、収入も今までで一番良かった。が、しかし!  転職から7カ月、私の体と心が限界に達して退職。次の転職先を探し始めました。

東京進出から3回目となる転職で大苦戦。何とか決まった会社のオフィスは居酒屋店舗!?

転職活動では、数社の転職サイトに登録し、ECサイト運営スタッフの募集を見つけ、片っ端から応募しました。しかしその時点で40代に突入していたため、書類選考で落とされることも多くなり、アルバイトをしながら転職活動を続ける日々を送っていました。

今までのECサイト運営、食品関連の知識が活かせる職場を希望していましたが、あまりにも決まらないのでだんだん焦りだし、自分のスキルと関係のないエステサロン運営会社やジュエリー会社などにも応募するようになっていました。

最終的に10社ほど面接を受け、2社から最終面接のオファーがあり、そのうちの1社に採用が決定。

そこは農産物卸売りを行う会社で、オフィスは居抜きの居酒屋をそのまま活用。土間があり、畳の小上がりが会議室で、掘りこたつがデスクという不思議な空間で、全国の農産物を販売するサイトを運営していました。

卸売りを母体としている会社だったのですが、やや特殊な農産物を取り扱っていたため売上規模は小さく、毎年赤字が続いているところの補助的な位置付けにECサイトでの販売がありました。

そのため、売上目標はさほど高くはありませんでしたが、肝心の卸売りがなかなか軌道に乗らないという根本的な問題を抱えながら仕事をしていました。さらに、ECサイトを動かすPC等の設備もお粗末で、業務遂行に苦戦。

入社はしてみたものの、会社自体が長く続きそうにない印象だったので、この先どうしようかなと悩みを抱える日々を過ごし、気付けば2年近くが経っていました。

 まさかの大手IT企業からオファーが!「そんなうまい話があるかいな」と思いながらも…

そんな時、Facebookに1通のメッセージが飛び込んできました。それは、北海道の食品メーカーに勤務していた頃に知り合ったAさんからでした。

当時、国内有数のECショッピングモールに食品メーカーの通販サイトを出店していましたが、そのショッピングモールを運営する大手IT企業の地元支社リーダーがAさんでした。

年2回実施される出品者向け説明会とその後の懇親会で、IT企業の上層部の方と交流することを知り、3次会、4次会と積極的に参加するようにしていました。これが功を奏し、Aさんと意気投合し、プライベートでも交流がもてるようになったのです。

Aさんからの久しぶりの連絡は、何と、「一緒に仕事しませんか?」というもの。最初は、ECサイトの出店の話だと思って断ろうとしていましたが、よくよく話を聞くと、それは大手IT企業への入社のお誘いだったのです。

「超大手からスカウトなんて、そんなうまい話があるの?」「しかも、Facebookのメッセージで?」と半信半疑で、大いに戸惑いました。が、もしも本当であれば、こんなチャンスは二度とないと思い、意を決して面接に挑むことにしました。

あまりにも大企業で、トントン拍子に話が進むので、家族には逆に怪しまれましたが、そんな心配も杞憂に終わり、無事合格・転職を果たしました。

面接の際に業務内容についての相談を受け、アドバイスをしたのが良かったかもしれません。私の今までの経験を交えてお話させていただいたところ、相手方もとても興味深く聞いてくださり、その辺りが採用に繋がったのではないかと思っています。

大手IT企業で働けるならこの際業務自体は何でも良いよと考えていましたが、今まで培ったスキルを存分に発揮できるECショッピングモール運営の中枢部に配属され、充実した日々を過ごしています。

 今までの経験がトータルで活きた結果が、大手への採用だった

IT企業に転職してから8年。現在では、東京進出する際に目標としていた年収を大幅にクリアしました。

北海道を出るときに想像もしていなかった大手に転職を果たした私が今思うこと。それは、今まで経験してきたことすべてが今に繋がっていると思います。

販売戦略や運営のノウハウ、仕入れから出荷までの経験を様々な会社で積んできた事は、面接の時に非常に効果的に作用しました。

北海道で身に着けたベースのスキルに加えて、大小様々な企業を渡り歩いてきた経験は、少し遠回りではあったものの決してムダではなく、同じ系統の職種を根気よく続けていけば成果に繋がっていくんだなという事を実感しています。

手に職をつけるとよく言いますが、まさにこの事だと思います。途中で小さな会社に務める事もありましたが、辛い中でもその分ギリギリのところを攻めるスキルが身に着いたり、大きめの会社での立ち回りも学べたので、数社を転々とした事もあながち間違いではなかったなと、今は思っています。

私ももうすぐ50代。Aさんとの絆を深めたお酒の席だけとは限りませんが、様々な人との繋がりやご縁というのはこうしたきっかけを生む機会にもなるので、これからも本当に大切だと感じています。本当にどこでどう繋がるかわからないので、皆さんも一つひとつの出会いを大切にしながら日々過ごして欲しいと思います。

[文]M.F(56歳男性) [編集]キャリア50編集部

 


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